町田は時間に遅れないように早めに家を出た。

 学校へと向かう道中、不安な気持ちが何度も脳裏を貫き、逃げ出したいという思いに苛まれた。

 これから行こうとしている場所には、今の自分が避けたいと思っている存在が全て勢ぞろいしている。

 彩華と優子。

 彼女たちを前にすれば、おそらく背筋が凍って、動悸で心臓がどうにかなってしまうのではないか。それは隠すことのできない調教の結果だった。

 千鶴はもう大丈夫と言っていたが、本当に大丈夫なのだろうか。

 またしても、彼女たちは自分に対して暴力を振るい、自分のことを練習台にしてしまうのではないか。

 そんな不安で町田は電車に乗っている時もビクビクしっぱなしだった。

 しかし、町田の不安はそれだけではなかった。

 彩華と優子に対する不安は確かに残っていたが、それ以上に町田を悩ませているのは野球部の存在だった。

 昨日で野球部の夏合宿は終わった。

 ということは、今日からまた彼らも学校に戻ってきているはずだった。女子ソフト部との戦いに破れて、グラウンドの使用権はほとんどなくなったも同然だったが、それでも学校に彼らが戻ってきていることは確かだった。

 これから学校に行けば、彼らと顔を合わせることになるかもしれない。

 自分のことを見捨てた野球部の面々。

 彼らと顔を合わせたとき、かつて信頼していた彼らから浴びせられるであろう侮蔑の表情や言葉を想像するだけで、町田の心はキリキリと痛んだ。


(それでも、向き合わなければダメだよな。夏休みもあと少しで終わるんだし、きちんと向き合わないと)


 町田は決意を新たにして、待ち合わせの場所へと急いでいった。


 *


 学校に到着して、自転車置き場に見知った自転車が置かれているのを見かけた。

 野球部の部員たちの自転車だ。

 夏休みが始まる前には慣れ親しんでいた仲間たちの自転車。それを見ると、やはり今日、彼らが学校に来ているということが分かった。

 グラウンドに行く途中で彼らと顔を合わせるかもしれない。

 運良く顔を合わせなくて済んでも、女子ソフト部の部室に行くためにはグラウンドを通らなければならず、そうなれば彼らの姿を見ることになる。

 再び怖じ気づきそうになる弱い自分を叱りながら、町田は歩き出した。

 階段をのぼる。

 バットがボールを打つ音はいつまでも聞こえなかった。

 階段を登りきってグラウンドに出る。

 そこには誰一人としていなかった。野球部員はおろか、女子ソフト部の面々すらいない。

 どういうことだろう。

 そんな町田の疑問は、聞こえてきた男の悲鳴によってかき消された。


「な、なんだ」


 おふざけの悲鳴ではない。

 命をからす絶叫が見知った場所から漏れてきていた。

 しかも、悲鳴は一人だけのものではなかった。

 何人もの悲鳴。必死に何かをお願いしている絶叫が、部室棟から遠く離れたここまで漏れ伝わってきていた。

 ごくりと、誰かが唾を飲み込んだ。

 町田は歩いていく。

 部室に向かって。

 女子ソフト部の部室に向かって歩いていく。

 悲鳴は近づくにつれて大きくなっていった。

 部室のドアの前まで到着する。

 助けてくださいと、何人もの男たちが命乞いをする言葉まで聞こえた。悲鳴は間断なく鳴り響き、部室棟を揺らしているように感じられた。

 再び誰かが喉をならした。

 ドアに手をかけ、そっと、開いた。


 *


「あ、弘樹くん、ずいぶん早かったね」


 出迎えてくれたのは千鶴だった。

 いつもの満面の笑みで、自分のご主人様がそこに立っていた。

 片手で野球部員の首を締め付けていることを除けば、特に変わったことはなかった。


「ごめんね、もう少しかかりそうなんだ。11時までには終わるからさ、ちょっと待っててもらえる?」


 千鶴が微笑みながら言った。

 そんな最中にも、彼女の手は貪欲に男の首を絞め頸動脈を完全にシャットアウトして、死刑を執行していた。

 右手に一人。

 左手に一人。

 千鶴は、二人の野球部員を同時に締め上げて、調教しているのだった。

 男の顔はすでにどす黒く変色していて、唇は口の外に飛び出て、ブクブクと泡を吹いていた。当然のように白目をむいていて、弱々しい手つきで千鶴の腕をつかんで必死に抵抗している。

 しかも男たちは全裸だった。

 衣服ははぎ取られたのだろう。地面に乱暴に捨てられた衣服を踏みつぶしながら千鶴が仁王立ちになって男たちを絞めあげていた。

 かなり上に持ち上げられているため、男子二人のつま先は地面についていなかった。

 宙づりにされて、片手一本で命を奪われようとしている情けない男たち。

 千鶴はそんな男二人を締め上げ続けているのだった。それがどれくらいの時間続いているのか、分からないが、男たちの憔悴した様子を見ると、長時間にわたっていることは確かだった。


「もう仕上げの段階だからさ。時間もかからないと思うの。だから、ちょっと待っててね」

「う、あ、ああああ」

「ほかの子もがんばってるからさ。見学しててよ。ふふっ、みんな張り切ってるからさ」


 そう言って千鶴は首絞めに集中し始めた。

 町田は呆然としながら部室を見渡すことしかできなかった。

 千鶴の言葉どおり、そこで男子部員たちを調教しているのは千鶴だけではなかった。

 女子部員たち。

 特に町田も見知った新入生の女子部員たちが中心となって、年上の野球部員たちをめちゃくちゃにしていた。


「抵抗しないと死にますよ」


 絵里香が横たわった男の胴体に座り、マウントポジションをとったまま、男の顔面を殴りつけていた。

 何度も殴られた男は既に意識がないのか、なすすべもない人形のように絵里香の拳を受け、衝撃に身を震わせるだけ。彼女の発達した下半身が男の下腹部全体を覆い隠して拘束しているので、自力での脱出が不可能であることは誰が見ても明らかだった。

 男に許されたのは絵里香の慈悲に頼ることだけだったが、彼女にその気はないらしい。絵里香は男が死ぬギリギリで手加減をしながら、ありとあらゆる殴打を男に与えようとしているようだった。

 何度も何度も、絵里香の豪快な拳が男の顔面を潰す音が響き、そのたびに虫の息になった男の命乞いが響いた。


「あはっ、体痙攣してきましたね~。苦しいですか~」


 歩美が首四の字固めで男の首を締め上げている。

 床に座り込んだ彼女の太ももとふくらはぎの中には、男の小さな頭部が完全に捕らわれていた。女子ソフト部の中では小柄な彼女だが、170センチメートルを誇る体格と、鍛え上げられた下半身の前に、貧弱な男はなすすべもなかった。

 年上の男子部員は体をじたばたさせてその地獄からぬけだそうとするのだが、全くの無駄。歩美の下半身の前に手も足もでずに、痙攣するだけ。そんな情けない上級生の様子を歩美は嗜虐的な笑みと共に見下ろし、バカにするように男の頭を撫でている。


「おら、尻餅つきの再開だよ」


 夏希が男の顔面に座って顔面騎乗している。

 ギャルの外見に似合うようにむっちりと発達した大きなお尻が、男の頭部を完全に隠するほどに潰していた。男の頭部は夏希の桃尻に捕食されているも同然だった。

 その状態で長時間呼吸一つ許さず、息継ぎをさせて気絶も許さずに、永遠と顔面騎乗を繰り返す。かと思うと、夏希は桃尻で男の顔面を潰し始めた。尻をあげて、そのまま男の顔面に落下させる。餅つき。男の顔面を何度も何度も尻で潰していく夏希の顔には、獲物をいたぶる猫のような笑顔があった。


「ほら、仲間が早く起きるようにがんばらないと、いつまでもこのままだよ。いいのかな」


 葵が胴締めチョークスリーパーで男を絞めていた。

 横向きの格好。

 彼女の大蛇のような太ももが男の胴体にからみついて、その背骨をヘし折らんとするように締め付けている。男の首には葵の両腕がみっちりとからみついており、情け容赦なく締め付けていた。

 残酷なのはそのシステムだった。

 気絶という慈悲はある条件を満たすまで与えられない。それまで、葵は永遠と男を絞め地獄に叩き落とし続ける。

 男の目の前には別の男子部員が気絶して横たわっていた。

 葵に絞め墜とされた全裸の男。

 葵は男たちを交互に絞め墜とし続けているのだった。

 そして、締め付けが終わるのは、もう一人の気絶している男が覚醒するときと決められていた。気絶した男がそのままなら葵の締め付けは永遠と続き、気絶した男がすぐに覚醒するなら頸動脈を絞めてやり一瞬にして意識を刈り取ってやる。そして覚醒した男を再び拘束して永遠と絞める。それが繰り返されていく。

 もはや男たちには仲間を思いやる気持ちすらなくなり、早く自分の苦しみから解放されることだけしか考えられなくなっていた。葵に絞められるとすぐに、その男は気絶している男を蹴り始める。早く起きろと。自分の代わりに葵様に絞められろと必死に仲間を蹴り続ける。

 それほどまでの苦痛が葵の締め付けによって与えられているのだった。喉の気道だけを永遠と絞められ、身動きを奪われていると、男たちは平気で仲間を裏切るようになった。そのことがどこまでも滑稽で、葵は男たちを情け容赦なく絞め墜とし続けていった。


 *


「な、なんで」


 町田は驚愕と共に惚けた声をあげた。

 部室の中では同じような光景がそこらじゅうで繰り広げられていた。

 女子部員たちが野球部員たちを痛めつけ、圧倒してしまっている。

 彼女たちの肉感たっぷりの体と、男たちの貧弱な体とが部屋中を覆い尽くしているように思えた。

 女性たちによって男性たちが蹂躙されていく。かつての仲間たちがなすすべもなく殴られ、蹴られ、絞め墜とされていく光景に、町田は言葉をなくしたまま呆然とするしかなかった。


「ひゃああああ、許してくだひゃああいいい! 優子しゃまあああ!」


 男の悲鳴にハっと視線をあげた。

 許しを乞うている相手の名前。

 ビクンと震える体でそちらを見ると、そこには優子がいた。

 いつもの天使のような笑顔。

 調教中に身につけていたマイクロビキニではなく、アンダーシャツ姿ではあったものの、ぴっちりと体にはりついた衣服のせいで、彼女の爆乳が強調される結果となっていた。

 その胸の中に男の顔面が閉じこめられていた。

 男の顔面が優子の大きな胸に捕食されている。優子は両腕で男の後頭部を抱きしめ、力いっぱい自分の胸で男の顔面を潰しているようだった。ぐんにゃりと歪んだ乳袋の形状からは、加えられている力の強さと、彼女の胸の柔らかさが伝わってきた。


「もう頭トロけてしまったんですね。わたしのおっぱい、そんなにすごいですか?」


 優子が優しげな声で言った。

 その言葉に胸の中の男は返事をする代わりに体をビクンビクンと痙攣させて答えた。

 仁王立ちのまま立ち、男の顔面を胸の中で拘束して潰し、調教していく優子。

 男の体からはすでに力は失われていた。

 ダランと弛緩した体を支えるように、優子は男の顔面を自身の胸に押し潰している。優子の胸が支点となって半ば宙づりの格好になっている。そうなっては、男がその爆乳の監獄の中から脱出できる見込みがないことは、経験者である町田にはすぐに分かった。


「はい、息継ぎしましょうね」


 体の痙攣が激しくなり、あと一瞬で窒息気絶となる寸前。

 優子が少しだけ両腕の力を緩めた。男の顔面には尚も柔らかい胸の感触が伝わってきて、拘束されたままだが、呼吸できるだけのスペースが少しだけ生まれた。生まれてしまった。


「ひゃあああああ、しゅごいいいいい!」


 くぐもった悲鳴が優子の胸の中から聞こえてきた。

 彼女のおっぱいに拘束された男の体がビクンビクンと大きく痙攣し始める。町田にはその男の気持ちが痛いほど分かった。

 優子の胸の中で彼女のフェロモンを嫌というほどに吸って、頭が麻痺してしまっているのだ。何も考えられなくなって、体中からは力がなくなってしまって、顔面に伝わってくる柔らかい胸の感触とその芳香でバカになってしまう。

 これまでの優子からの調教によって身も心も溶かされた町田としては、その男がこの後どうなってしまうのかなんて、考えるよりも明らかだった。


「はーい。次は乳首ですよー」


 優子が言った。

 彼女はビクンビクンと痙攣して完全に脱力した男の体を抱えると、そのまま男の向きを反対にして、後ろから抱きしめた。

 優子の大きな胸が男の小さな背中で潰れる。片手で男の胴体を抱え込んだまま、もう片方の手が男の乳首をカリカリとひっかいた。


「ひゃあああああ、だめええええ!!」


 悲鳴。

 片手だけの愛撫によって、男は殺人鬼を前にしたような絶叫をあげる。その間も優子の手は動き続け、男の乳首を蹂躙していった。

 電気ショックをくらったかのように首がのけぞり、白目をむいて「おほおおおお」と人間をやめた動物が快感に我を忘れていった。


「ふふっ、だいぶ開発しましたから、すごく気持ちいですよね」


 優子が痙攣する男の耳元で囁く。


「両手でカリカリ本気で調教しましたからね。たった5分でここまで開発されちゃいました。あなたは今、乳首いじめてもらうためにはなんだってする乳首中毒になってしまっているんですよ」

「ひゃッハアア! オホンオオンン!!」

「ふふっ、片手でいじめているだけなのに、もう言葉も喋れなくなってしまいましたね。なさけなーい」


 快感で陸にあがった魚のように痙攣し続ける男の体。

 男は痙攣して体を動かし、与えられる致死量の快感を逃がそうと無意識の抵抗をする。優子はそんな男の体を片手でぐいっと抱きしめ痙攣すら許さずに拘束して、男の乳首を責め続けていった。


「ッヤッギャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 男の悲鳴が唐突に終わった。

 ブクブクと泡をふき、あっという間に気絶してしまった男。優子がため息をついた。


「はやすぎですね」


 残念そうな、物足りなさを感じている様子。

 優子は背後から男の気絶した顔を覗きこんで、やれやれといった具合で言葉を続けた。


「男の人を墜とすなんてこんなに簡単。簡単のはずなのに。なのになんで」


 優子が困惑気味に言葉を続ける。


「なんで、町田先輩のことは墜とせなかったんだろう」


 心底不思議そうな口調で言う優子。

 彼女は、その感情のはけ口を求めるように、哀れな犠牲者でさらなる練習をすることに決めたようだった。


「ほら、おきてください。次はアナルを開発しますよ。ふふっ、すぐにトコロテン射精しながら気絶できるようにしてあげますからね」


 男の悲鳴。

 恐怖からトロケたような悲鳴になるのに時間はかからなかった。優子が持ち前の性技でもって、男どもを次から次へと圧倒していく。


「す、すごすぎる」


 町田がつぶやいた。

 町田は優子の性技を遠くから見つめるしかなかった。
 
 優子から目が離せない。

 その快感と恐怖は体に覚え込まされている。

 今も、優子は四つん這いにした男の下半身を抱え込んで、そのアナルを長い舌でめちゃくちゃに犯していた。

 優子の舌が男の尻穴をジュポジュポとえぐり、舐めあげ、蹂躙していく。

 すぐに男の命乞いは人間の言語ではなくなり、前立腺を直接キャンディーでも舐めるかのように舐め上げられると白目をむいて気絶した。

 それで許すような優子ではなく、さらなる舌の動きでもって男を追いつめていく。アナルを舐めあげながらも研究熱心な彼女は目を大きく開いて男の痴態を観察していた。自分の舌によって男の快感がどのように変化するのか見極め、感じやすい場所と動きを正確に再現していく。

 すぐさま全ての弱点を暴露された男は優子の玩具にされ、彼女の舌の動き一つにあわせて気絶と覚醒とトコロテン射精を繰り返すようになってしまった。


「う、あああ・・・・・」


 あまりの恐怖に町田は一歩後ろに後退した。

 優子に屈していたら、今あそこで快楽拷問を受けているのは自分だったかもしれないのだ。

 優子の練習台という名の玩具にされて、彼女に与えられる快感だけに身も心も捧げる人生。

 さらに、男の顔は苦痛だけではなく恍惚とした表情を浮かべ始めた。薬物をきめておかしくなってしまったかのように、優子からの責めだけがすべてになってしまっている。

 その様子が何よりも恐ろしくて、一歩、また一歩と町田の足が後ろに動き、後退していく。

 周りすら見えなくなった彼の末路はおのずから知れたものになった。


「ちょっとアンタ。前見て歩きなさいよ」


 その声に町田は今度こそ石になった。

 背筋が凍って、一歩も動けなくなる。

 体が凍り付いたかのようで、全身の感覚が全てなくなってしまったような気がした。


「ちょっと、人の話し聞いてるの?」


 彩華の声が町田の全身を貫いた。


 *


 苦労して彩華のほうを振り向いた町田が見たのは、彼女の調教のすさまじさだった。

 彩華は3人の男を同時に調教していた。

 千鶴と同じように、片手で男の首をつかみ、締め上げている。二人同時に締め上げているというのに、彩華の体は全くふらついていなかった。

 しかも、彼女の太股の中には男の頭部が捕らえられ、同じように締め付けられていた。

 男たちの顔は真っ赤なリンゴのように鬱血して、じたばたと暴れ回っている。自由な足と手をめちゃくちゃに動かしてなんとかその地獄から抜け出そうともがき苦しみ続ける。

 その様子はまるで、子供の手によって捕まり逃げだそうとするカブトムシやダンゴムシのようで滑稽だった。


「まあいいわ。もう少しで終わるから、ちゃんと見てなさい」


 彩華がそう言って、町田の目の前で調教を続けた。

 じっと町田の目を見下ろしながら、片手間に3人の男たちを絞めあげ続けていく。

 じたばたと暴れる男たちに飽き飽きした様子の彩華。

 彼女はまるで町田に見せつけるように、いきなり両手両足に力をこめてやった。


「っひっぎいいい!!」

「っぎゃあああ!!」

「ひゅううっぎゃああ!!」


 男3人がそれまでの抵抗が可愛く見えるほど絶叫し、暴れまわる。

 それを冷徹な眼で無視し続ける彩華はさらに力をこめてやった。仁王立ちの美少女が矮小な男3人を圧倒していく。

 すぐさま、男たちは墜ちた。

 両手両足をブランと脱力させ、盛大なイビキをかき始めた男たち。そんな彼らのことを見下ろし、「ふん」と吐き捨てるように言った彩華が続けた。


「情けないわね。これいくらいで根をあげるなんて。まだまだ終わるわけないのに」


 そう言って彩華は何度目になるか分からないチェンジをした。

 右手で握っていた男を太ももに。

 太ももで挟んでいた男を左手に。

 左手で握っていた男を右手に。

 順番にチェンジをして、一瞬だけぎゅっと本気で力をこめる。彼女の前腕と太ももの筋肉が隆起し、ビクンと男たちの体が痙攣し、すぐに意識を取り戻した。


「ふ、はあ?」


 3人の男たちが惚けた声をあげる。

 キョロキョロと視線だけを動かして状況を確認し、自分たちの状況を知るや否や、絶望に顔を凍り付かせた。


「命乞いタイム」


 彩華が言った。

 猛禽類の笑みで男たちを見下ろしながら、彼女は続けた。


「ルールはさっき説明したから覚えてるわよね。わたしが満足する命乞いができたら許してあげる。できなかったら、また絞め墜とす。絞め墜としてまたぐるぐる廻っていくの。メリーゴーランドみたいにね」


 ふふっと笑った。


「はい、今から1分間。開始」


 その宣言と共に男たちが唾を飛ばして絶叫し始めた。


「許して、許してください彩華様!」

「お願いちましゅうううう!! たちゅけてくだちゃいいいい!!」

「何でも言うことききますから、もう逆らいません。許してくださいいいい!!」


 彩華に片手で宙づりにされている男も。

 太ももにがっしり挟み込まれている男も。

 恥も外聞もなく、年下の女の子に命乞いを始める。

 もはや彼らの心がバキバキに折られて、抵抗心なんてものが微塵も残っていないことは明らかだった。

 それでも彩華は彼らを許すことなく、メリーゴーランドを続けてきたのだった。永遠に終わることのない連続気絶の地獄。

 彩華は必死に命乞いしてくる男たちを満足気に見下ろし、嗜虐的な笑みを浮かび続けている。そんな彼女が今の男たちの命乞いを聞き入れる見込みがないことは明らかだった。


「はい、不合格♪」


 ぎゅうううううッッ!!

 ぎゅううううううッッ!!

 ギュウウウバギッッ!!


「「「ッギャアッギイイイ!!」」」


 締め付けを開始。

 途端に昆虫たちがじたばたと暴れ始める。

 顔をあっという間に鬱血させて、首を絞められ、体の自由も言葉を発する自由も奪われて、残されたのは気絶という救いだけ。

 それすらも許さず、彩華は男たちが気絶するギリギリのところで手加減をして永遠に苦しみ続けさせる。

 涙をぽろぽろと流し情けない負け犬の瞳で彩華に許しを乞い続ける男たち。そんな男たちを見つめ返すのは容赦のない加虐の快感に酔った彩華の笑みだった。


「じゃ、また同時に墜とすわね」


 彩華が言った。


「力加減が難しいのよね。3人同時に絞め墜とすためには、微妙に右手と左手の力を変えて、当然、太ももも調整しないと」


 ま、私だったら簡単だけど。

 そう言って、その通りにした。

 彩華は笑顔を浮かべたまま余裕で、3人の男たちの意識を同時に奪った。

 3人の昆虫たちが盛大に暴れていたのが、まるでスイッチを切られたかのように停止し、そのままブランと腕と足を脱力させて彩華に宙づりにされる。

 絞め墜とされ、イビキをかき始めた男たちから視線をはずすと彩華が言った。


「こいつら、10回も回転できずに心が折れたのよ。今じゃ、命令すればなんでもするマゾ奴隷になっちゃった。あっという間にね」


 彩華が3人の男たちを拘束しつつ、町田を見下ろしながら続けた。


「アンタはあんなにもったのに。野球部だから根性が違ってたのかとも思ってたけど、そういうわけじゃないみたいね」

「え?」

「優子もショックだったみたいよ。自分の技があんたに通用しなくて。だから、今も何人かぼろ雑巾になるまで責めまくって、自分の力を確認してるみたい。まあ、その結果2、3人が廃人になっちゃったけど」


 じっと彩華が町田のことを見下ろした。

 言葉もなくただじっと見下ろす。

 そこにはなぜか嗜虐的な笑みはなかった。

 何かを思案しているような、自分のうちに何かを秘めているような、そんな切実さだけがあった。


「ねえ、あんたがもし」


 らしくもなく若干言いよどみながら、静かな口調で彩華が続けた。


「あんたがもし、千鶴先輩に捨てられたら、必ず私に連絡すること。いい?」

「え、な、なんでですか」

「なんでも。分かったわね」

「は、はい」


 彩華は唐突に町田から視線をはずすと、そのまま調教に戻っていった。

 まるで町田がそこに存在しないかのように装い、両手太ももで拘束している男たちをいたぶることだけに集中していく。

 町田としては、彩華の言葉は訳が分からなかったものの、そんな疑問は男たちの悲鳴によってかき消されていった。

 なおも、美しい少女たちが男たちを蹂躙し、調教していく。

 かつて仲間だった見知った野球部員たちが、手も足もでずに女子ソフト部員にボコボコにされていくのを町田はただただ呆然と見つめるしかなかった。

 なぜここまで徹底してやるのか、ぜんぜん分からない。

 野球部員たちが何かしでかしたのか。

 女子ソフト部員たちを怒らせることをしたのか。

 その答えは、男たちが全員心の底から屈服し、抵抗心を根こそぎ奪い取られて、女の子様に完全な忠誠を誓うようになってからもたらされることになった。

つづく