千鶴と町田の生活に、ディープキスが加わったのは映画の一件があった後だった。
「じゃあするね〜」
千鶴が練習から帰って、町田の顔をかかえこんだ。
大きな口をあけて、その口の中を町田に見せつける。
捕食前の一瞬。
その迫力に町田は、ひっと後ろに下がろうとするのだが、町田の顔を抱え込んだ千鶴がそれを許さない。
「いっただきま〜す」
「むふうう!?」
千鶴が勢いよく町田の唇にかぶりついた。
すぐに舌をいれる。
縦横無尽に千鶴の舌が暴れまわり、すぐに町田の体から力がなくなった。
まるで食べられてしまっているかのような、熱烈なディープキス。唾液音が鼓膜に進入してきて、その過激な音だけでも達してしまいそうだった。
「こら、暴れないの」
言うなり、千鶴がさらに町田の体を抱きしめた。
彼女の大きな胸がぐにゃると町田の体で潰れる。
その柔らかさに、町田の体は溶けてしまった。さらに体から力がなくなり、千鶴に抱きしめられていないと立っていられないほどだ。
じゅぱああっ。
じゅうるるる。
ジュバジュバ!
町田の瞳がどんどんとろけてくる。
それを千鶴は満足そうに観察していた。
自分のすることによって、町田がどんどんとろけていってしまうのが心地よかった。
征服している感じがした。
だから、もっとやろうと、さらに舌使いを過激なものに変えて舐めていく。
「んんあああ!」
もっと喘げ。
千鶴は獰猛な鳥類を思わせる笑みを浮かべて、獲物を喰いあらしていく。
このように、千鶴のキス魔としての行動は日常のそこかしこで見られた。
ご飯を食べたあと。
リビングでテレビを見ている最中。
抱き枕にしているとき。
朝起きて寝ぼけ眼でのキス。
千鶴の気が向くままに、千鶴の好きなときにディープキスをする。
そのたびに町田の頭はとろけ、千鶴に骨抜きにされてしまっていた。
(こんにゃの無理〜、あ、気持ちよすぎるうう!!)
自我が壊れてしまうくらいの快楽。
そして当然、日々の調教も続いた。
散々首を絞められ、ブクブクと蟹みたいに泡をふくさまを観察される。
太股の中に挟み込まれ、力いっぱい締め付けられる。
そんな調教のあとにもディープキスがされるものだから、もう町田はどうにかなってしまいそうだった。
苦痛と快楽を体に叩き込まれる。
もう絶対に戻ってこれないほどに、千鶴にしかできない力でもって、町田は籠絡されていった。
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「あれ、もう喘がないの?」
千鶴が唇を離して言った。
場所は寝室のベットの上。
そこで町田を押し倒し、自慢の巨乳で彼のことを押しつぶしながら、何時間もディープキスで町田のことを虐めていたのだ。
町田の衣服ははぎとられ、パンツしか残っていない。
そんな彼の全身は真っ赤に腫れ上がっていて、それまでの千鶴の調教がどれだけ苛烈なものだったかを物語っている。
散々調教された後のディープキスで、町田の目はレイプされたように裏がえり、ほとんど意識がなかった。
「ぷぷっ、なさけな〜い。女の子にキスされてレイプ目になっちゃってるよ?」
千鶴はうれしそうに自分の下でビクビクふるえる町田のことを見下ろした。
裏がえった黒目。
口を閉じることもできず、そこからたれている涎。
それを見るにつれ、千鶴の中で燃え上がるものがあった。
「それじゃあ、こっちはどうかな〜」
言うなり、千鶴は町田の首を片手でつかんた。
そのまま町田のことを持ち上げ、ベットの上で仁王立ちする。
堂々と立ち上がる千鶴と、その手につかまれ、宙づりにされる町田。
千鶴は町田のことを片手で首を絞めているのだ。
まるで戦利品を示すかのように、ぐいっと片手で町田を上にあげ、それを見上げる。
そして、
「はい、開始〜」
おどけたように言うのと、千鶴の腕に力がこもるのは同時だった。
千鶴の腕がぼこっと筋肉でふくれあがったかと思うと、町田の体がビクンと一度痙攣した。
千鶴の手は町田の首にぎちぎちと食い込み、絞めあげていく。
ギギギっつ、ばぎい!
町田の体が痙攣し、顔が真っ赤になる。
その様子を見上げ、千鶴は言った。
「あーあ、こっちもダメだね。ぜんぜんいい反応にならないや。いつもなら、お魚さんみたいに脚をばたばたさせて面白いのになー」
首絞めは継続。
町田の顔色が変わっていくのを楽しそうに見上げながら、千鶴は続けた。
「無駄なのに必死に抵抗してさー、口からぶくぶく泡ふきながら、許してーって必死に命乞いするのをじっくり鑑賞するのが好きなんだけどね。これじゃあダメだね」
言うなり、千鶴は町田の首から手をはなした。
どさっとベットの上に落ちる町田。
びくんびくんと体を痙攣し、ひゅーひゅーと息を吸っている。
そんな彼のことを千鶴は立ち上がったまま見下ろしている。
「ふふっ、今日はこれで終わりにしてあげるね」
千鶴は自分を必死に押さえつけながら言った。
倒れた町田をまたいで立ち、まるで、これは自分のものだと主張するかのようだった。
「でも、やっぱり町田くんのことを虐めるの楽しいなー。別に、男の子を虐めるのは初めてじゃないんだけど、町田くんのときみたいに楽しいとは感じなかったもんね」
ふふっと妖しく笑う千鶴。
「これからもいっぱい、いろんなことしようねー。明日は、オフの日だから、一日中、虐めてあげるからね」
「あ・・・あ・・・ああ」
「さてと、じゃあ寝ようか。抱き枕になってよね、弘樹くん」
こうして町田の眠れない夜が続く。
全身を包む痛みと、千鶴の柔らかい体を感じながら、町田は絶望とも幸せとも言い切れないなんともいえない気持ちを感じていた。
それでも、自分が彼女に逆らうことはもう二度とできないこともわかっていた。
できるならば、ずっとこうしていたい。
町田の心の深いところでは、千鶴から受ける苦しみも悦びもすべて甘受したいという重いが生まれ始めていた。
これが少なくとも夏休みの間続くのだ、と。
しかし、そんな自分でも認識していなかった町田の希望は打ち砕かれることになった。
それは、夏休みも中盤になったある日のことだった。
つづく