1 男は絶対に逃げてはいけない。
2 どんなに怖くても男は絶対に逃げてはいけない。
3 逃げると恐ろしいことになる。
4 男は逃げられない。
5 男は金曜日の夜、島の南にある洞窟で敵と戦わなければならない。


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 何かを忘れているような気がする。

 恐ろしい何かを忘れているような気がする。

 なぜか肉が食べれなくなった。

 牛だろうが魚だろうが、肉という肉を体が拒否するようになった。血の匂いなんて嗅いだら吐く。

 なぜなのだろう。肉は好物だったはずなのに嫌で嫌で仕方なかった。見るのも嫌だった。だからここしばらくは肉なんて何も食べていないはずだ。

 それなのに、口の中には血の味がした。

 夢にまで出たほどだ。

 それがなぜなのか、俺にはさっぱり分からなかった。


「いやだよ。もう、いやだ」


 洞窟に向かう最中。

 そこでガタガタ震えている男がいた。

 いかにも軽薄そうなキザ男。いつも自信過剰にふるまっているナンパ野郎が、今ではビクビク震えながら最後尾を歩いていた。


「おい、小林。はやくしろよ」


 俺は小林に声をかけた。

 小林は恐怖に染まった顔で俺を見上げていた。


「春信、おまえ、怖くないのか?」


 ガクガクと震えている。

 本島の女をナンパしたとか、一発やってやったとか、嫌がってる女をトイレで犯したら気持ちよかったなんて、そんなことを自慢してくるどうしようもない男が心底怯えながらふるえていた。


「運動部連中があっけなく殺されちまったんだぞ? 次はおれたちだ。それなのに、おまえ、怖くないのか?」

「怖いにきまってるだろ」

「だ、だったら」

「でも仕方ないだろ」


 これは玲奈のためだった。

 敵を倒さないと、玲奈を助けることはできないのだ。敵を倒せば玲奈を助けられる。そのために、俺たちは戦っているのだった。


「れ、玲奈なんてどうでもいい」


 小林が言った。


「なんであんな女のために命をかけないといけないんだ? なあ、なんでだよ」

「なんでって、おまえ、幼なじみを見捨てるつもりか?」

「幼なじみ? あ、ああそうだったな。俺と玲奈は幼なじみだ。そうだったな」


 小林が呆然と言った。


「だけど、それがなんなんだ?」

「あ?」

「幼なじみだから、命をかけて守らないといけないのか? なんでだよ。おかしいだろうそんなの」


 ガクガクとふるえている。

 俺は見切りをつけて先頭に向かって歩いた。

 後ろから文句をいいながらも小林が歩いてくる。逃げることはできない。俺たちは絶対に逃げることなんてできないのだ。玲奈のために。これは玲奈のためだった。


 *


「やっほー、今日もきたね」


 洞窟の中。

 いつものように海水で隔てられた空間に敵はいた。

 敵の姿は月明かりを浴びて光り輝いていた。いつもの黒のエナメルに身を包んだ女王様姿。それで着飾った肉体美は圧倒的だった。小麦色に焼かれた肌が、どこか神々しくこの世のものとは思えないような美しさを周囲に振りまいていた。


「じゃ、今日もやろっか」


 楽しそうな敵。

 それに対して、俺たち3年B組の生徒たちは怯えきっていた。

 それは俺も同じだ。朝倉だってビクビクふるえている。それもそうだろう。運動部の中でも身体能力に優れた奴らが皆殺しにされてしまったのだ。それを俺たちは間近で見てきた。それで怖くないはずがないのだ。


「じゃあ、今日はおまえ」


 敵が指をさした。

 ビクンと震える。

 選ばれたのは小林だった。


 *


「嫌だあああ、い、嫌だああああッ!」


 腰が抜け尻餅をついてしまった男。

 そんな情けない様子を見てニンマリと笑った敵が、くいっと人差し指を動かした。それと同時に小林の体が宙に浮かび、そのまま敵のほうにむかって動いていく。


「ひゃだああああッ! た、たすけてえええッ!」


 空中で泣き叫んで暴れるのもむなしく、小林がボトっと落ちた。そこはニンマリと笑った敵の足下だった。


「安心しなよ。よわっちいおまえと、格闘技の勝負で戦おうなんて思ってないから」

「ひいいいい、ひいいいいッ!」

「おまえ、ずいぶん女の子と遊んできたんだよね。こんなご時世に本島まで行って女を犯してきたとか自慢してきたときには、バカだなーって思ったけどさ、そんな自慢してくるんだから、セックスには自信があるんだよね」


 敵が小林の胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。

 そのまま宙づりにして自分の視線の高さまで持ち上げる。さきほどから小林は半狂乱になってじたばた暴れている。そんな男を胸ぐらを掴むだけで無効化している敵が言った。


「5分間、射精を我慢できたらお前の勝ちでいいよ」


 敵が真正面から小林を見つめながら、


「じゃ、ヤるね」

「むっっふうううううッ!」


 敵が小林の唇を奪った。

 ぶっちゅううううっと、捕食するかのような勢いで口をあけ、小林の唇を貪り食らっている。じゅるじゅるという唾液音が響き、敵の肉厚な舌が小林の口内をめちゃくちゃにしていた。


「んん・・・・ああん・・・・・・」


 暴力的なディープキスをされているのに、小林の体はあっという間に弛緩した。

 その口から漏れるのは悲鳴ではなく喘ぎ声だ。

 甘ったるい、男があげてはいけないとろけた声で鳴いている。

 それを聞き、男の痴態を堪能した女が、ニンマリと笑いながらさらに責めていった。

 胸ぐらをつかんで宙づりにするのはやめ、敵は今、両腕を小林の首に絡ませて抱きしめている。身長差があり過ぎて、小林は完全に上をむいて口づけを甘受するだけ。敵はまるで獲物に覆い被さるようにして上から接吻の嵐を降り注ぎ続けるのだった。

 小林の体はもう屈服してしまっている。

 あまりの快感に自分の足では立っていられないらしく、ガクガクとその膝が震えていた。それを確認した敵が、まるで息継ぎをするみたいにして唇を離した。


「ねえ、どうだった、わたしのキス」


 まじまじと小林を見つめながらの言葉。

 鼻と鼻とがくっつくくらいの距離で、羽交い締めにした男にキスの感想を聞いている。


「すごいっしょ。自慢なんだよね、わたしの舌技」

「あ、あ、あひん・・・・・ひい・・・・・」

「もうトロットロじゃん。男の子が浮かべちゃいけない甘々な顔になっちゃってるよ?」


 つんつんと人差し指で小林の頬を突っついていく少女。

 彼女はくすりと笑うと、小林のズボンを強引に脱がした。現れた一物を見て、バカにしたように笑った。


「ちっちゃ~い。これがお前の自慢のち●ちんだったの?」

「ひ、ひいいい」

「こんなので女の子犯したとか、その女の子もかわいそうだね~。ほら、すぐにイかしてやるよ」


 乱暴に一物を掴む。

 ひいっと悲鳴を漏らした男には無頓着に、敵がごしごしと一物をしごいていった。乱暴にしか見えない動き。しかし、とんでもない快感が生じていることは、小林のあげる喘ぎ声が高くなったことで分かった。


「なに? もうそんな喘ぎ声あげちゃっていいの?」

「ひいいいいッ! き、気持ちよすぎるううううッ!」

「あはっ、もう骨抜き? なさけないな~。まあ、私にかかればこんなもんよ。お前の弱点なんてすぐに把握してそこだけ永遠に責めることができる。ほら、ここだろ、今のお前の弱点」


 敵の手の平が小林の亀頭を包み込んだ。

 そのままぐりんぐりんと回転を続ける。ビクンと体を痙攣させた小林の耳元で、敵が妖艶に囁いた。


「ねえ、言っておくけど、射精したら本当に殺すからね」

「ひ、ひいいいいいいいッ!」

「あと2分、我慢できずに射精したら殺す。これまでみたいに徹底的にいじめ抜いて殺す。わかってるよね?」

「ひゃだあああッ! し、死にたくないいいよおおおおおおッ!」

「じゃあ我慢しなさいよ。ほら、ほら、ほら」

「あっひいんんんんッ!」


 敵の手が変幻自在に動きを変えた。

 小林の弱点を絨毯爆撃していく。その手の動きは洗練され過ぎるほどで、見ているだけで俺たちも勃起してしまった。


「あ、もう限界ね、これ」


 敵が一物をしごきながら言った。


「男がイく瞬間、分かっちゃうんだよね~。ほら、カウントダウンしてあげる。お前が命が消えるカウントダウンだよ」


 小林が暴れる。

 歯を食いしばって必死に我慢している。

 それをあざ笑うように、敵のやらしい手が男の一物に絡みつき、致死的な快感を与え続けていった。


「10、9、8、7」


 勝利を確信している強者の声色。


「6、5、4、3」


 それとは対照的な泣きじゃくった小林。

 ぼろぼろと涙を流しながら、自分の意思では我慢できない快感の前に敗北しようとしている。


「2、1、0・・・・・イけ」

「あっひいいいいいいいんッ!」


 どびゅんんんッ!!

 ドッビュウウウウッ! びゅっびゅうううッ!


 射精した。

 こんなに男が射精することができるなんて信じられないほどの量だった。


「あはっ、イったイった」


 敵が笑いながらしごくのを止めない。

 射精の脈動にあわせて精液を絞り出していく。

 その手の動きのたびに小林の一物から白い液体が飛び散っていく。それを敵がニンマリと笑いながら見下ろしていた。


「ん。終わったわね」


 長い射精の後。

 ぐったりした小林を羽交い締めにして立たせながら、敵が勝ち誇ったようにして言った。


「じゃ、殺すね」




つづく