月日は瞬く間に過ぎていった。
斉藤の生活は変わらず、毎日のように月村に調教され、いたぶられていた。
教室でも月村は調教の手を緩めず、自習中は斉藤の顔面を椅子に固定化して座布団にし、顔面騎乗で斉藤の顔を潰した。
奉仕も徹底させ、見せつけるように、足を舐めさせ、調教を繰り返していった。
そんな月村の様子は、最初と比べて、少しだけ変化していた。
最初のころは、義務的に、斉藤のことを調教していたのだが、最近は、その調教を楽しんで行っている様子だった。
まるで調教することが目的になったように、月村は同級生の斉藤を虐め、その苦悶の表情や声を楽しんでいた。
そんな様子をほかのクラスメイトにも見られ、斉藤の自尊心はズタズタに壊されていってしまう。
最近では、女子だけではなく、男子にも蔑みの態度をとられるようになってしまった。
もはや斉藤と口を聞く男子はおらず、露骨に無視をするようになっていた。
月村に奴隷の烙印を押され、それが教室中に広がってしまったのだ。
斉藤は常にうつむきながら、唯一つのより所である勉学にいそしむだけの毎日だった。
そんな地獄のような毎日の中で、斉藤の中では疑問が生じていた。
ここ1年の間では生じたことのない疑問。
それがある出来事をきっかけに斉藤の中で生まれることになったのだった。
その疑問とは、
(なんで、うちのクラスだけ、男子への調教がこんなにされてないんだろう)
中等部3年にあがった瞬間から、斉藤たちのクラスでは男子調教はまったくなくなっていた。
月村の斉藤に対する調教がいきなり始まるまでの間、まるっきり平和だったのだ。
まるで対等な立場同士のように、彼女たちと日常生活を送っていた。
斉藤は、それがほかのクラスでも同じ出来事だと思っていた。
中等部3年に入ったら、ほかのクラスでも同じように、男子虐めはなくなったのだと、そう思っていたのだ。
しかし、先日のこと。
月村からほかのクラスへの頼まれごとをされ赴いたときに、その考えが間違っていることを知ったのだった。
*
それは卒業試験まで1週間を切っていたある日のことだった。
月村から、隣のD組の女子に、借りていた本を返すように命じられたのがそもそもの始まりだった。
斉藤たちのE組だけ、校舎が違っており、ほかのクラスに行くのは久しぶりだった。
昼休み。
A組からD組までが入っている校舎に足を踏み入れたとき、気づいたのは男子たちの悲鳴だった。
斉藤は最初、それは中等部1、2年生の悲鳴だと思った。
自分も昔、1、2年生だったころは昼休みと言わず毎日のように同級生の女の子に調教されたものだ。
しかし、その考えが、3年生の教室前まできて、間違いだったことに気づいた。
男子の悲鳴がなりやまない。
それどころか、校舎に入ってきたときよりもさらに過激になっている。
命をからす絶叫。
必死に命乞いをする情けない言葉。
同級生の女の子の名前を必死に叫び、なんとか慈悲を乞おうとしている男の声。
それが廊下まで響きわたってきて、斉藤は思わず身震いするほどだった。
(なんだ、なにが起こっているんだ)
そう思いながら、斉藤はD組のドアを開けた。
瞬間、さきほどまでとは比べものにならない悲鳴が大音量で斉藤の鼓膜を刺激した。
教室は地獄のような光景だった。
全ての男子が衣服をはぎ取られ、丸裸でいる。
そして、全員、女子に調教されていた。
発育の良い少女たちが、男子たちを圧倒している。
首を絞めながら男子を宙づりにして往復ビンタをしている少女。
太ももとふくらはぎにそれぞれ男子を挟み込み、永遠潰し続けていく少女。
教室中で、女子生徒が男子生徒を虐め抜いている姿がそこにはあった。
教室中に、男子の悲鳴が間断なく響き続いている。
「あ、斉藤っち。待ってたよ」
呆然としている斉藤に声をかけたのは栗色の髪が印象的な活発そうな女の子だった。
ラクロス部の部長。
よく部長会議で一緒になって、話をする機会もあった明るい少女だ。
ほがらかな笑みが似合うそんな女の子。
しかし、彼女もまた男子を調教していることに変わりなかった。
少女の大きな胸には、男子の頭が埋まっていて、さきほどから圧迫と窒息の恐怖を与え続けていた。
かなりの時間、そうしているのだろう。
少女はブレザーを脱ぎ、ワイシャツにセーターの格好だった。
彼女の巨乳はそれだけで強調され、その谷間の中に男の頭部が完全に埋まってしまっている。
そんな調教をしながら少女は斉藤に気さくに声をかけたのだった。
「本、これでしょ」
言いながら少女が斉藤に本を差し出した。
斉藤は彼女の胸の中で必死に暴れ、苦悶の声をもらしている男に釘付けとなって、あやうく本を取り落としそうになった。
「それにしても、E組は災難だよね」
少女が言った。
両手で男の後頭部を抱きかかえ、ぐいっと自分の爆乳で潰しながら、
「月っちたちも思いきったことするよね。最初聞いたとき、驚いたもん」
「え」
「1年がかりの計画だもんね。ほんと、ほかの人たちはかわいそう・・・・・・って、」
そこで斉藤がキョトンとしていることに気づいた少女。
彼女は「あ」と声をもらしてから、
「ひょっとして聞いてないの?」
「な、なにを」
「卒業試験のこと・・・・・・って、そうか、聞いてないかー」
それはまずいことをしたな。
少女が小さく呟いた。
彼女はそのまま仕切り直すように、
「にゃははっ、忘れて忘れて。斉藤っちは大丈夫だからさ。じゃ、私はこいつら調教しないとだから、これで失礼するよー」
言いながら少女は去っていった。
斉藤はなにがなんだかわからないまま、男子たちの悲鳴を聞くことに耐えることができず、D組を後にしたのだった。
それが、考えてみれば、あの惨状を予見することができる最後の兆候だった。
もっとも、このときに気づくことができたとしても、斎藤にはどうすることもできなかっただろうが。
斎藤たちのクラスは、そのまま何事もなく卒業試験を迎えることになる。
(続く)