嗜虐の花が咲く頃に ~付き合い始めた彼女のえっぐい寸止めで射精管理されちゃう~



 1



 彼女と出会ったのは大学のボランティア部だった。

 というか、彼女の存在がなければ、僕がボランティア部に入ることなんてなかっただろう。ボランティアなんて偽善の産物でしかないなんて斜に構えているような僕だったから、新入部員勧誘のための飲み会で彼女に会わなければ、そのまま適当なサークルに入っていたと思う。

 彼女。

 栗栖川つぼみ。

 僕と同じ新入生だというのに、飲み会の中でも彼女は落ち着いて見えた。周囲が楽しそうにしているのに、彼女だけは無表情のままで、ぼんやりとウーロン茶を飲んでいた。口数だって少なくて、先輩たちに話しかけられてようやく口を開き、それだって数語を発するのみで沈黙してしまう。けっして口べたであるとか陰気であるといった感じではないのだけれど、話す必要があることしか言葉を発する必要性を認めないという態度は、同年代の女性とは異質な印象を受けた。

 そう、それがきっかけだったのだ。

 僕はつぼみに興味をもった。

 彼女がそのままボランティア部に入部したという情報をつかむと、僕もボランティア部に入部することにした。

 彼女が部活に顔を出す曜日には必ず部室にいるようにしたし、彼女が参加するボランティアには必ず出席するようにした。

 ボランティア部の活動は多岐にわたっていて、その中でも人気のあるものとないものに分かれる。街頭に立って募金を募ったり、公園のゴミ拾いを行うといったことは人気がなかった。それなのに、つぼみは率先してそういった活動に参加していた。

 無口で無表情。

 しかめっつらというわけではなく、ただただ表情がない。感情がないロボットみたいに黙々とボランティア活動に勤しむ彼女を見て、僕はどういうわけかますますつぼみに惹かれていった。



 *



 僕は警戒されないように少しづつ、つぼみに話しかけていった。

 いや、違う。要は怖かったのだ。彼女に拒絶されることが怖かった。

 女の人とつきあったこともなかった僕は、だからこそ臆病になって、少しづつ彼女に話しかけることしかできなかった。

 今日はいい天気だねとか。

 明日のボランティア部の活動内容はなんだっけとか。

 大きな声を出すことが苦手な彼女の代わりに街頭募金で「募金お願いしま~す」と声をはりあげたり。

 そんなふうにして時間が経過していった。

 気づけば2年が経っていた。

 あっという間の大学3年生。

 この間、進展は何もなかった。

 自分の奥手ぶりにつくづく呆れた。2年が経過するまで、僕は告白するどころか彼女をデートに誘うことだってできなかったのだ。

 ボランティア部で話しをするだけの毎日。

 さすがに2年間も一緒にボランティア活動をしていれば最初の頃に比べて彼女との距離も近くなった気がする。けれども彼女は変わらずに無口で無表情のままだった。とても脈があるとは思えない。告白をしても無駄だ。こうして僕は卒業まで告白もできず、彼女を遠くからじっと見つめるだけで終わっていくのだろう。そう思っていた。



 *



「き、君のことが好きだ。僕と付き合って欲しい」

 なんか知らんが告白していた。

 ボランティア部の部室。

 二人っきりの時、彼女が静かに本を読んでいるところにいきなり僕が告白したのだ。

「…………」

 本から顔をあげた彼女の無表情が僕に突き刺さる。

 じいっと僕の顔を真正面から見つめてくる彼女の顔に、「ああやっぱり可愛いな」と思ったり、心臓が破裂するほど鳴っているのを感じたりしていると、彼女が口を開いた。

「どうして?」

「ど、どうしてって、そりゃあ、つぼみのことが好きだからだよ」

「好き」

「そ、そう。好き。愛してる。ラブ」

「…………」

 彼女は黙ってしまった。

 これはいつものことだ。

 彼女は考え事をする時みたいに、片手を顎にやって下を向いた。このポーズを僕は勝手にコナン君ポーズと呼んでいる。最大限に熟考しなければならない場面で彼女がとるポーズだった。逃げたい。

「いいよ」

 逃げたい。

「え?」

「よろしくね」

 つぼみはそれ以上会話をする必要性を認めなかったのか、読みかけだった本に視線を落として、すらすらと読み始めた。

「え?」

 僕の声だけが部室に響く。

 顔が真っ赤。

 手が震えている。

 それはすべて僕の反応だ。

 つぼみはいつものように無表情で本を読み続けた。

「え?」



 *



 こうして僕は、つぼみと付き合うことになった。

 夢ならさめないで欲しい。

 ひゃっほおおおいッ。



 2



 人生初めての彼女である。

 いろいろな経験をした。

 二人とも人混みが嫌いだったので、図書館で一緒に本を読んだり、公園を散歩したり、僕の家で一緒に映画を見たりした。

 いろいろなことをした。

 手を握ったし、手を握ったりした。右手ではなく左手でも手を握ったし、指を絡ませる感じで手を握った。ほかには手を握ったし、握ったりした。

 手を握ることしかできなかった。

 数ヶ月、手を握るくらいしか進展がなかった。

 もちろん僕が握った彼女の手はとても柔らかくてすばらしかった。それだけで満足なんだけれども、僕も男だ。もっといろいろなことがしたい。手を握るだけではなくもっと進んだことがしたかった。僕は欲情していた。彼女の柔らかそうな体に魅了されっぱなしだった。当然、セックスがしたいということを彼女に遠まわしに伝えたこともある。しかし、

「セックスって、子供をつくるためのものでしょ?」

 これである。

 つぼみは古風な考え方をもっていた。

 カトリック系の小中高一貫の女子校に通っていたらしく、お堅いことこの上ない人格を形成されておられるようだった。僕がいくら誘っても「セックスって子供をつくるためのものでしょう」の一言で全てはご破算だ。それでも僕はめげなかった。僕は欲情していた。

「で、でもコンドームをつければ子供だってできないから、大丈夫だよ」

「なんでそんなものつけるの? それだと子供ができないじゃない」

「そ、それはそうだけど」

「子供をつくるためにするセックスで、なんで子供をつくらないための行動をとるのか、いまいち私にはよく分からないんだけど」

 いつもの無表情。

 淡々と落ち着いた口調で言う彼女は、「セックスは子供をつくるためのもの」ということを堅く信じているようだった。

「で、でも、お互いに体を重ねてさ、愛を深めるっていうのかな。そのためにセックスすることだってあるんじゃない?」

 僕はめげなかった。

 しかしつぼみは、

「でもセックスって子供をつくるためのものだよね」

 一言。

 これである。

 どうしたってこの大きな壁を突破することができなかった。それでも僕は諦められなかった。それだけ彼女に欲情していたのである。それで、

「え? 手でやって欲しい?」

 つぼみが珍しくその大きな瞳をまん丸に見開いて言った。

 セックスがダメなら手でして欲しい。

 僕は厚かましくもそう頼んでみたのだ。

「…………」

 つぼみはいつものコナン君ポーズで黙った。

 視線も下にやって熟考の構えだ。

 僕は顔を真っ赤にして、ダラダラと汗をかきながら、つぼみの返事を待った。

「うん、いいよ」

「え?」

「だから、手でしてあげる。これはセックスじゃないから別にいいよ。それに、男の人って射精しないと辛いんだよね」

 だからこれはボランティアみたいなものだよ。

 つぼみはそう言って、いつものように無表情のまま僕のことを見つめてくるのだった。



 *



 部屋の中。

 パンツを脱いでベットに横たわる。

 そのかたわらに正座したつぼみが、がしっという感じに僕の愚息を片手で掴んだ。

「分からないからやり方教えてね」

 そんないつもの小さな声が聞こえる。

 けれども僕はそれどころじゃなかった。

 彼女の手の感触。

 それだけに僕の全意識は集中してしまっていたのだ。

(き、きもちいいいッ!)

 やわらかかった。

 あたたかかった。

 きもちよかった。

 自分で慰める時よりも何十倍も興奮した。

「どうすればいいの?」

 僕の愚息を握ったまま彼女が質問してくる。

 いつもの無表情で淡々と。

 その変わらない様子で見下ろされているのだと思うと、なぜかとても興奮した。

「あ、あの、そのまま、上下にしごいて……」

「こう?」

 つぼみの手が言葉どおりに動いた。

 電撃が走った。

 快感で体がビクンと震えた。

「あ、きもちよかった?」

「う、うん」

「こうするのね」

 しこしこ。

 彼女の手が僕の愚息をしごいていく。

 そのたびに僕の体はビクンと震えた。

 信じられないほどきもちよかった。

 自分の手でやるのとは比べものにならないほどの快感。彼女の手が動くたびに、僕の愚息はピクピク震え、先走りの汁を漏らしていった。

「なにか出てきたよ?」

 不思議そうにつぶやくつぼみ。

 ねちゃねちゃと粘着質な音が部屋に響きわたる。

「き、きもちよくなると、出ちゃうんだよ」

「これが精液?」

「ち、違うンンッ! ち、違うよ。カウパーっていって、精子も含まれてるみたいなんだけど、でもンンンッ! きもちいい」

 言葉も満足に喋れない。

 その間も、つぼみはその柔らかい手を上下に動かしてしごき続けている。

 彼女の無表情な顔が、じいっと僕のことを見下ろしている。僕が喘いでいる様子を淡々と見下ろして、僕の反応を観察しているのだ。

 あまりの快感。

 我慢できるはずもない。

 僕はあっけなく射精した。

「い、いくうううッ!」

 どっぴゅううううッ!

 精液が飛び散る。盛大な射精。

 大量の精液が僕の下半身を汚した。

 人生で一番の射精だった。

 目がチカチカして、ハアハアと息を荒くする。

「射精した?」

 つぼみが淡々と聞いてきた。

 初めて男の射精を見たはずなのに、彼女はまったく驚いた様子を見せなかった。いつもどおりの無表情でもって、淡々と僕のことを見下ろしている。僕は射精の衝撃でうまく喋れなかった。そんな僕にむかって、つぼみが言った。

「次はもっとうまくやれると思うよ」

「え?」

「やるね」

 がしっと彼女の手が再び僕の愚息を握った。

 それは有無を言わせない力強い動きだった。

 僕の愚息はつぼみの手によってがっしりと握られ、その感触だけでビクンと震えるしかない。

 

「つ、つぼみ、ま、まっアアヒイイインッ!」

 制止の言葉よりも早く彼女の手が炸裂した。

 柔らかい手の平が僕の分身を蹂躙していく。

 しかも、さきほどよりもその動きは洗練されていた。まるで熟練の娼婦のような手つきで、つぼみが僕の愚息をめちゃくちゃにしていく。

「こうだよね」

 淡々とした声。

 それとは対照的な情熱的な手コキ。

 彼女の五本の指が肉棒にからみついて、的確な動作と力加減で責めてくる。

「ひいいいいいッ!」

「ここかな?」

「あ、ああああッ!」

「正解みたい。こっちもだね」

「アッヒイイイイイッ!」

「うん、わかったかも」

 動きが明らかに変わった。

 まるで僕の弱点を全て熟知しているかのように、つぼみの手が僕の肉棒を虐殺していく。

 鬼頭を包み込んでグリグリと回転させ、刺激で麻痺する瞬間に根本までいっきにしごいてくる。鈴口だけ人差し指でいじりながら、ほかの指で肉棒に繊細なタッチで触れてくる。

 うまい。

 きもちよすぎる。

 僕は言葉も喋ることができず、アヒアヒと喘ぎ声を出すことしかできなかった。

「ここだね」

 そんな僕の喘ぎ声と反応だけで、つぼみは僕の弱点を次々とみつけてしまうのだった。

 僕も知らなかった自分の弱点を、つぼみによって思い知らされる。裏筋をいじられるのがこんなにきもちいいなんて初めて知った。鬼頭をいじられるのだってこんな腰を抜かすほどきもちがよかったなんて知らなかった。

 僕はつぼみに指示を出していない。

 彼女は僕の反応だけで男を悶絶させる手コキを修得してしまったのだ。

「ん、イキそうだね」

 彼女が言った。

 もう射精のタイミングすら把握されている。

「はい、射精」

 どっびゅううううううッ!

 ビュッビュウウウウッ!

 彼女の言葉にあわせるようにして、僕は射精した。

 まるで、射精の権利すら彼女に奪われてしまったかのような錯覚。射精が終わらない。どこまでも続く精液お漏らし。僕は自分の腰から先がなくなってしまったかのような感覚に悶えながら、アヒアヒと喘ぐしかなかった。

「きもちよかった?」

 ようやく射精が終わったタイミングでつぼみが聞いてきた。

 無表情な彼女が僕のことを見下ろしている。僕はハアハアと肩で息をしながら、なんとか言葉を絞り出した。

「は、はい。き、きもちよかったです」

「なんで敬語なの?」

「い、いや、だ、だって」

「そんなにきもちよかった?」

「……はい」

 僕は気圧されたように言った。

 彼女にはもう逆らえない。そんな気がした。

「そう、よかった」

 彼女は無表情のまま、

「こんなのでよければ、またしてあげるよ」

「い、いいの?」

「うん。だって簡単だもの」

「え?」

「男の子って簡単に射精しちゃうんだね。こんなに簡単だったら特に面倒でもないから、いつでもやってあげるよ」

 つぼみは僕のことを見下ろして、

「射精したくなったらいつでも言ってね」

 いつもの無表情で、そう言うのだった。



 3



 それからというもの、僕はますますつぼみにのめり込んでいった。

 二人きりになれば常に手コキをお願いした。

 我慢なんてできなかった。

 彼女の近くにいるだけで僕の愚息は期待に勃起してしまうのだ。それだけつぼみの手コキはすさまじかった。自分で慰める時より何百倍もきもちがよかった。それを毎日のように味わってしまえば、手コキ中毒になってしまっても仕方がないだろう。

「あっひいいいいいッ!」

 今日も僕はつぼみに絞られる。

 僕の部屋。そのベットであおむけになって寝ころび、僕はつぼみに手コキをされていた。

「あ、ああああ……っひ……ッッアアアンッ!」

 声が我慢できない。

 我慢しようと思ったそばから喘いでいる。

 その原因はすべてつぼみにあった。

「きもちい?」

 いつもの無表情。

 その顔で見下ろされながら、僕は責められ続けている。

 つぼみは普段と変わらない様子に見える。しかし、彼女の手は熟練の手つきで男の一物をしごいているのだ。その動きは男の一物を手玉にとる娼婦よりも手慣れたものになっていた。

(おかしいいいッ! きもちよすぎるううッ!)

 僕は心の中で絶叫していた。

 つぼみの手コキは、どんどんうまくなっていた。

 昨日より今日のほうがうまい。

 信じられないことに毎日のように技量があがり続けている。

 彼女は僕の喘ぎ声と体の痙攣からさらなる快感の与え方を学び、それを実践していくのだ。

 もはや僕の愚息は彼女のものだった。

 つぼみに支配されてしまっている。

 僕は早くも息も絶え絶えになって喘ぐだけになってしまっていた。

「乳首も責めるね」

「ま、まっアッヒインンッ!」

 彼女の片手が僕の乳首をつまんだ。

 上着をまくりあげて、その小さな男の乳首を蹂躙していく。カリカリといやらしく動く指先によって、僕は早くも追いつめられてしまった。

「い、いっきゅううううッ!」

 どっびゅうううううッ!

 びゅっびゅううううッ!

 頭がスパークする。

 下半身が溶けて爆発している。

 その間もつぼみの手コキはやまない。乳首への刺激も継続されて、僕は踊り狂ったように体をバウンドさせるしかなかった。そうしていなければ、あまりの快感で頭がおかしくなる。愚息から子種が強制的に吐き出されていった。

「ん、イったね」

 ようやく手を止めたつぼみが言った。

 彼女は「かひゅ――かひゅ―――」とか細い声しかあげることができなくなった僕のことを見下ろし始める。

 じっと、淡々と、無表情で。

 射精後のルーティンワークになったこの時間。

 僕は射精の余韻でめろめろになりながら、無防備な姿をいつまでも彼女に見下ろされ続けるのだった。

「乳首責めるとすぐ射精するね」

 ようやく僕の意識が正常に戻ったのを見計らってつぼみが言った。

「そんなにきもちよかった?」

「す、すごいです。ほんと、すごい。きもちよすぎて……すごい」

「そう?」

「な、なんでこんなうまいの? お、おかしいよ。だって、今まで付き合った男の人、いなかったんだよね?」

「そうだよ」

「なのになんでこんな手慣れてるの? つぼみはセックスだってしたことないんでしょ? 初めてで、こんな、すごい、こんな」

 うわ言のようにつぶやく。

 つぼみはじっと僕のことを見下ろしながら、

「簡単だよ。こんなの」

「え?」

「男の子を射精させるのなんて簡単だってこと。セックスの経験がなくたって、余裕でイかせられるよ」

 こんなふうに。

 がしっとつぼみの手が僕の愚息を捕獲した。その感触だけでビクンと僕の体が跳ねた。

「ま、待ってつぼみ! イったばっかりだから、今、だめえええッ!」

「…………」

「あ、あ、あ、あ、む、無言でしこらないで。そ、そんな見つめちゃ嫌だああああッ!」

「…………」

「アッヒイイイイイイッ!」

 つぼみの蹂躙は終わらない。

 彼女はじいっと僕のことを無表情で見下ろしながら、永遠と手コキをやめなかった。敏感になった鬼頭を手のひらで包んでグリグリと虐殺していく。さらに喘いで涙がもれる。そんな情けない様子を頭上からつぼみが見下ろしてくる。さらにトドメとばかりに、彼女の唇が僕の乳首をくわえこんで、舐めあげた。

「いきましゅうううううッ!」

 どっびゅううううううッ!

 どっどっびゅううううッ!

 二発目。

 間髪いれずの射精に僕の意識がブラックアウトする。信じられない量の精液が爆発していく。それなのに、つぼみの手コキは止まらない。乳首を舐める彼女の舌もますます過激に蠢いていく。

「あっっひいいいい! やめ、やめへえええええッ!」

 顔を左右に振って必死の懇願。

 顔をブンブン振り回して一生懸命にお願いしているのに、つぼみはそれでも手コキと乳首責めをやめてくれなかった。

「…………」

 無言。

 無表情。

 じいっとこちらを見下ろしてくる彼女の顔。

 僕が涙と涎をまき散らしながら痴態の限りを尽くしている様子を、上から淡々と見下ろしている。ついに意識が失われる瞬間―――彼女の口元が、うっすらと微笑むのが見えた気がした。



つづく