「よかったですね、部長。純菜がバトルファック部に入部してくれるみたいですよ」


 俺は学校の中で部長に話しかけていた。

 昼休みの食堂。

 既に週末の金曜日で、あたりには明日からの休みを前にして少し浮わついた雰囲気があった。そこで俺は岸田部長と昼飯を食べながら、昨日、純菜から入部届を受け取った話しをしたのだった。


「うむ。ありがたいことだ。純菜くんほどの実力者であれば、大歓迎だよ」


 ハハハっと笑いながら、日替わり定食をパクついていく部長。純菜の入部届けも受理してもらえて、俺としてもほっと安心した。


「それで、今日から純菜くんは部員として部活に参加してくれるのかね」

「いや、今日はちょっといろいろと準備があるって言ってましたよ。だから部活には出られないと」

「準備とは何かね?」

「どうでしょう。バトルファックに必要な細々としたもの買うんじゃないですかね。今日は出られないけど、明日の土曜日の練習には朝からきちんと行きますって言ってました」


 そうか、とつぶやく部長だった。

 なんの準備が必要なのか俺もよく分からなかったが、純菜が言うならそれは必要なことなのだろう。あの真面目な純菜が部活をサボるわけがなかった。


「しかし、彼女は本当に今までバトルファックをやってなかったのかね」


 部長が唐突に言った。


「ええ。体育の義務科目でやってから、一度も経験がないって言ってましたよ。テレビでもそういうのは見てなかったとか」

「そうか。ならば、やはり才能なんだろうな」

「才能?」

「ああ。とにかくあの胸は本当に規格外すぎる。私も胸の大きな選手はたくさん見てきたが、純菜くんのおっぱいはレベルが違う」

「そ、そんなにすごいんですか」

「すごいってもんじゃない。アレに触ればたちまち全てをもっていかれる。触らなくても視界に入るだけで問答無用のフル勃起だ。しかも、純菜くんのフェロモンは猛毒レベルだよ。嗅いでしまえば最後脳味噌が溶けてしまって何もできなくなる。正直、彼女とまともにバトルファックして勝てるビジョンがまるで見えない。おそらく今度の大会でも台風の目になるだろう。ひょっとすると、全国大会も夢ではないかもしれない」


 県大会ベスト16に入ったこともある岸田部長が言うくらいなんだから、純菜の爆乳は本物なのだろう。俺はゴクリと唾を飲み込んだ。


「買いかぶりすぎだろ。部長」


 と。そのとき俺たちのテーブルにトレイを乱暴に置いた男が口を開いた。同じバトルファック部員の佐藤だった。

 少しヤンチャな感じのある佐藤は、鋭い目つきをしながら続けた。


「あの地味子の外見じゃあ、上にはいけねえよ。あんな胸だけの女、県大会じゃあ3回戦までが限界だろう」

「が、外見は関係ないんじゃないか?」

「大ありだね。なんだよ健二。幼なじみだからって、あいつの肩をもつ気か? プロのバトルファッカーだってみんな芸能人並みの容姿じゃねえか。興奮するかしないかなんだ。ブスより美人。地味子より派手な女のほうが有利に決まってるだろう」

「まあ、そうかもしれないが」

「そうだぜ。あいつは戦時中だってもっと派手だったんじゃねえかと思うくらい容姿に無頓着だからな。リング名はジミー純菜にすればいいと思うぜ」


 吐き捨てるようにして言う佐藤だった。

 佐藤は純菜と同じクラスメイトということもあってか、彼女に対するあたりが強かった。

 しかし、それも仕方ないだろう。教室では目立たず、長い前髪と黒縁メガネで静かに本を読んでいるだけの同級生。真面目なことだけが取り柄な女の子が、バトルファック競技場では男子の精液をひたすら搾り取るサキュバスに変わるのだ。

 そのギャップをほかの部員よりも知っている佐藤は、純菜に搾り取られることに屈辱を感じ、彼女にきつくあたっているのだろう。


「しかし佐藤、あの胸は別格なんだろう? おまえだって、さんざん搾り取られてるじゃないか」

「そりゃあな。あれだけの巨乳、部長と違って俺は見たこともねえよ。でも見てな。いつかあいつの胸を克服して、あの素人女をイキ狂わせてやるからよ」


 そう言って笑う佐藤だった。

 彼はラーメンをすすりながら言った。


「しかし分からねえのは、あの胸だよ。教室じゃあ、あんなにデカくねえんだぜ? 制服ごしじゃあ控え目だっていうのに、どういうことなんだろうな」

「ああ。そういえば佐藤くんは純菜くんと1年のころからクラスが同じだったな」

「ええ。さすがにあれだけの巨乳となりゃあ、制服ごしだって気づかないわけないと思うんだが……って、こんなこと考えても仕方ねえか」


 そう言って佐藤はずずっとラーメンをすすった。

 佐藤の疑問は俺の疑問でもあった。いくら中等部のときから頻繁に会うことはなくなったといっても、顔を合わせるくらいはしていた。それなのに、純菜の成長に気づかなかったなんてことがあるんだろうか。

 そんな疑問はすぐに解消されることになった。


 *


 俺の通学手段は電車と徒歩だった。

 学校までは電車を乗り継いでいくしかなく、平日ともなれば満員電車に揺られて移動しなければならない。毎日わずらわしいといったらなかったが土曜日の今日は乗客もまばらで、席に座ることができた。

 最寄り駅で降りて、徒歩で学校へ向かう。ちらほらと同じ学校の制服を着た男女に出会った。少しづつ暖かくなって、もうコートを着ている生徒も少なくなってきていた。厚手のブレザーすらいらない日も増えている。あとはあっという間に夏をむかえて、先輩たちにとって最後の大会となるのだろう。それが少し寂しいように感じられた。

 そんな感傷に浸っていると、なんだか後ろから歓声が聞こえた。男たちの「おおっ」という声と「誰だあの可愛い子」「でかすぎだろ」という声が大きくなっていく。

 振り返ると、そこには芸能人みたいに可愛い女の子が息を切らせて立ち止まっていた。







 同じ学校の制服。童顔じみた顔つきに、そのショートボブの髪型はすごく似合っていた。どこかの日本画家が描いた由緒正しき大和撫子。そんな感じがした。

 しかし、その可愛い顔立ちがかすんで見えるほどに際だつものがあった。

 爆乳。

 制服をぴちぴちに突き破ろうとしているかのような大きなおっぱい。体格にあわせて少し大きめに仕立てられているそのブレザーは、しかし、彼女の爆乳を押さえ込むことはできていなかった。ブレザーのボタンは最初から無条件降伏をしており、最初からボタンをしめることを諦めていた。ブラウスごしにもっこりと膨らんだ曲線が惜しげもなくさらされている。そのあまりの大きさに、俺はゴクンとつばを飲み込み、じっとその二つの果実を凝視してしまった。


「健ちゃん、一緒の電車だったんだね。気づかなかったよ」


 歩くの早いねと、その少女が言った。

 それは純菜の声だった。は? と混乱した俺は、まじまじと少女の顔を見つめる。俺を追いかけてきたようで、少女はハアハアと息を荒げている。彼女が息を整えて、こちらにむかってニッコリと笑顔をつくった時、ようやく事態が飲み込めた。


「お、おまえ。純菜か?」

「そうだよ。そんなに変わったかな?」


 変わったなんてものじゃなかった。

 まるで別人。あの重かった長い前髪はばっさりと切られて、ショートボブになっている。ダサかった黒縁メガネもなくなっていることから、おそらくコンタクトレンズにしているのだろう。その大きな瞳がこちらを見つめてきていて、その可愛さに俺は思わず純菜から視線をはずしてしまった。


「ず、ずいぶん髪の毛ばっさり切ったんだな」

「うん。バトルファックって、けっこう激しいスポーツだから、髪が長いと絡まったりして不利だと思ったんだ」

「そうか。それにしても」


 俺はそこで純菜の爆乳を凝視してしまった。

 制服を突き破ろうとしているその大きな曲線。今まで、純菜の制服姿を見てきたが、こんなにも自己主張の激しい胸部ではなかったはずだ。どういうことなのか。目の前の爆乳から目を離すこともできない俺の疑問に気づいたのか、純菜が言った。


「あ、やっぱり目立つかな、これ。さらしはずしてみたんだけど」

「さ、さらし?」

「うん。今まで大きなおっぱいが恥ずかしかったから、家出るときにはさらしを巻いて、目立たないようにしていたんだ。けっこうグルグル巻きにしないと押さえられなくて、苦しかったんだよ」


 だからなのか、と俺は腑に落ちた。

 それと同時に、純菜の胸が手遅れになる前でよかったとほっとした。さらしを巻いた状態で暮らせば、形は崩れるし、いつか健康的を害していたかもしれない。


「昨日、放課後に休みをもらって、ブラジャーとか自分にあった競技水着を買ってきたんだ。少し恥ずかしいけど、今後はさらしはなしにするつもりだよ」

「当たり前だ。さらしでグルグル巻きにするなんて、形が崩れたらどうするつもりだったんだ」

「うん。今となってはそう思うんだけど、やっぱり恥ずかしかったんだよね。今日の電車の中でも、周りの男の人が、みんな私の胸を見てくるし」


 純菜が自分の爆乳に視線を落とす。

 しかし、男たちの視線は当然だろう。この大きな胸を前にすれば、ブラックホール並に男子たちの視線を全て吸い込んでしまうことは必至だった。


「でもこれもバトルファックでもっと強くなるためだもん。私の武器だからね、これは。今後は、ちゃんとケアしないと」


 そう言って笑う純菜だった。

 もはや彼女はいっぱしのバトルファッカーだった。自分の体の武器を把握し、それを鍛え、相手を刈り取る戦士。優しく笑う純菜は、覚悟を決めた女の顔をしていた。


「がんばったんだな、純菜」


 俺は言った。


「すごく可愛くなった。胸だって、ぜったいそっちのほうがいい」

「そ、そうかな。かわいい?」

「ああ。おまえ、ぜったい強くなれるよ。俺が保証する」

「えへへ。ありがとう健ちゃん」


 そう言って笑う純菜は本当に可愛かった。

 人を優しい気持ちにさせる満面の笑み。彼女と一緒にいるだけで、なんだか頭が麻痺するような多幸感が生まれるのを感じていた。それは今までになかった感覚だった。純菜を前にしていると、心臓がドクドクと脈動して、彼女から目を離せなくなる。

 俺は戸惑いを感じながらも、純菜と隣り合って学校へとむかった。まわりの男子からの羨望の眼差しを感じながらも、俺の意識は隣を歩く純菜の爆乳に捕らわれてしまっていた。


 *








「今日から入部する夢野純菜です。よろしくお願いします」


 純菜がバトルファック部の競技場であいさつをしている。

 彼女の変化は、練習相手として彼女に慣れ親しんだ男子部員たちにとっても驚きをもって迎えられた。今も、周りの男子部員たちは彼女の姿から目を離すことができず、中にはトロけた視線で純菜のことを力なく見つめる奴もいるくらいだった。

 今も、あいさつのためにおじぎをして、自然と前屈みになって強調された谷間に、男子部員全員の視線がくぎ付けになっていた。


「ゴホン。よく入部してくれた、純菜くん。あらためて歓迎するよ」


 部長が威厳を保って言った。


「はい、よろしくお願いします」

「うむ。君にはこれまでと違って、女子部員として厳しい練習に励んでもらうことになる。覚悟はいいかな」

「はい。わたし、がんばります」


 真面目な顔で言う純菜だった。

 その従順そうな様子に、部長はウンウンと頷いて見せた。


「今後は実践形式の練習を基本としていくことになる。しかし困ったな。純菜くんを指導する女性部員がいればいいのだが、皆、今年の春に卒業してしまってね。さて、どうしたものか」

「あ、いちおう私、昨日、本屋で教材を買ってきました」

「ほう。それは熱心だね」

「わたしは素人ですから当然です。時間がかかってしまいましたが、全て目を通してあります。だから、実践形式の練習の中で、一つづつ試していきたいです」


 そこで純菜は不安そうに顔をくもらせた。


「でも、いい教材がなくて、少し分かりにくい部分もあったんです。なので、実践形式の練習で至らない点があればアドバイスしていただきたいです」


 どこまでの真面目に、真剣に物事に取り組む純菜だった。

 彼女は一生懸命、バトルファックの腕を高めようとしている。そのことに好感をもたない者はおらず、その場にいる全員が純菜を同じ部員として受け入れていた。


「もちろんだとも。実践形式の試合で戦った対戦相手は当然として、その試合を外から見ていた男子部員にもアドバイスを求めてくれて構わない。皆、君の力になってくれるだろう」


 そう誇らしげに言った部長は、さっそく本日の練習のスタートを宣言した。


 *


 リングの上に、純菜があがる。

 実践形式の練習。試合と同じ、15分ハーフづつの30分間の試合だ。

 その最初の対戦相手として指名されたのは、純菜にきつくあたりがちな佐藤だった。


「よろしくお願いします」

「お、おう」


 リングにあがった佐藤は戸惑っているようだった。

 無理もないだろう。昨日、あれだけ純菜の外見をけなしていたのに、翌日になったらこの変化だ。佐藤の中に葛藤が生まれていることは、その鋭い瞳をチラチラと純菜のほうへ向けていることからも分かった。


「それでは、試合開始」


 部長が宣言し、ブザーが鳴った。

 15:00と表示された時計が14:59となり、1秒づつ時を刻み始める。

 最初に動いたのは予想外に純菜だった。彼女はいきなり、手で自分の胸を下から持ち上げて見せた。ぐんにゃりと変形した純菜の爆乳に、佐藤が「うっ」とうめき声をあげてそこを凝視してしまう。


「昨日、きちんとサイズのあう競泳水着を購入したんだよ。ど、どうかな、佐藤くん」


 ぐりぐりと自分の巨乳を手でこねくりまわしながら、純菜がゆっくりと佐藤に近づいていく。その張りのある生命力の塊みたいなおっぱいが歪曲していく様子に、佐藤はくぎ付けになってしまっていた。


「ひ、久しぶりにサイズをはかったら、自分でもびっくりするくらい大きくなってて笑っちゃった。ねえ佐藤くん、私のおっぱい、どれだけ大きくなってたと思う?」


 純菜がニッコリと笑いながら腕で下から爆乳を持ち上げた。


「104センチ。Jカップになっちゃいました」


 その言葉に佐藤が呻く。

 純菜の言葉を聞いてはいけない。彼女の胸を見つめるなんてもってのほかだ。しかし、純菜のつたないながらも繰り出される言葉責めと、大きな胸のコンボに、佐藤は肌を重ねる前からたじたじになってしまっていた。


「ねえ、どうかな佐藤くん。わ、わたしのJカップおっぱい、触ってみたくない?」

「う、アアアッ」

「ふふっ、ほ~ら、とっても柔らかそうでしょ」


 ぐにゃああッ!

 ついに純菜が両手で自分の胸を左右から寄せあげて見せた。谷間が潰れて肉がさらにはみ出る。縦に長く大きさを増したように見えるその見事な爆乳が、佐藤の意識を完全にジャックした。


「隙ありっ」

「むっっぐううう!」


 その一瞬の隙を見逃さず、純菜が佐藤に飛びかかった。

 前のめりになるほど凝視していた佐藤の顔を掴むと、そのまま自分の爆乳へと押し込み、死の抱擁を繰り出す。

 パフパフ。

 巨乳バトルファッカーだけに許された相手の行動力を完全無効化してしまう恐怖の技。それが完全に極まり、佐藤の顔面が純菜のおっぱいに埋もれて見えなくなってしまった。

 あまりの爆乳。片方の乳房が佐藤の顔よりも大きな純菜の爆乳だからこそできる芸当だった。大きな胸の谷間の中にすっぽりと埋まってしまった佐藤は、もぐもぐと呻いてそこから脱出しようとする。それを大きな胸の肉が拘束して、身動きをとれなくさせてしまっていた。


「あ、暴れちゃうと逆効果だよ」


 純菜が冷静に言った。


「そんなに暴れるとすぐに息を吸いたくなっちゃうでしょ。それで、一呼吸でも息を吸ったら最後……」


 その言葉にあわせるように、佐藤の体がビクンと痙攣した。

 それが間断なく続き、男の体がガクンと脱力する。膝をつき、抵抗らしい抵抗もできなくなってしまった佐藤。もはや顔面を純菜の爆乳の中に捕らえられ、そこを支点にして宙づりになっているような格好だった。


「ほら、わたしのフェロモンたっぷり吸い込んで、体から力がなくなっちゃった」


 純菜がにっこりと笑いながら言った。

 その笑顔は普段の彼女と同じものだった。見る者を安心させる満面の笑み。しかし、それを浮かべた彼女は、今、男をおっぱいの中で拘束し、仁王立ちのまま拘束している戦士だった。


「どうかな、佐藤くん。わたしのフェロモン、今までと違うでしょ」


 純菜が爆乳の中で痙攣する佐藤に向かって言った。


「これまでの練習ではね、わたし、練習の前にシャワーを浴びて、徹底的に体を洗ってたんだ。でも、今日はシャワー浴びてないの」


 純菜が勝利を確信した笑みと共に。


「フェロモンは胸の谷間の中に溜まりやすいらしいよ。今日は洗い流していない純度100パーセントのフェロモンなんだ。だから、佐藤くんが耐えられなくても仕方ないと思うよ」


 そこでトドメとばかりに純菜が動いた。

 佐藤の顔面を自分の爆乳にすり付けるようにして、強引に動かす。まるで佐藤の頭部が純菜の巨乳の中でシェイクされてしまっているようだった。佐藤の顔面で純菜の柔らかい胸がぐんにゃりと変形している。それが10秒ほど続き、勝負は終わった。


「うん。もういいかな」


 純菜が唐突に宣言すると、ようやく男の頭部を抱きしめていた腕を解いてやった。

 あまりにも大きなおっぱいに埋まっているため、それだけでは解放されず、彼の頭部は純菜の谷間に挟まれたままで宙づりになっていた。クスリと笑った純菜が佐藤の顔面を自分の爆乳の中から引き抜いてやって、ようやく佐藤の体は自由になった。

 どさっ。

 もはや自分で立つこともできなくなっていた佐藤は、そのまま地面に仰向けに倒れ込んだ。普段の気丈な彼からは想像もつかないほど弛緩しきった表情。まだ意識はあるものの、アヘアヘと呻き声を漏らしながらビクンビクンと震えている。


「まだだよ佐藤くん」


 純菜は情けをかける気もないようだった。


「今日はディープキスが課題なの。次はそれで佐藤くんのことを、お、犯しちゃうね」


 若干かみながら、純菜が言葉責めを続ける。

 彼女は地面に横たわったままの佐藤の体に覆い被さった。爆乳が佐藤の胸板で潰れ、浸食した。その肉の迫力は、まるで純菜の胸が佐藤の体を捕食して吸収しているかのようだった。


「いくよ、佐藤くん」

「ま、まっへ」

「ダメ。待たない」

 ぶっちゅううううッ!

「あっひんん!」


 その状態で純菜のディープキスが炸裂した。

 純菜が見せつけるように大きく口をあけ、佐藤の唇を貪り喰った。長い舌で佐藤の口内を蹂躙し、めちゃくちゃに犯していく。

 もはや防御力がゼロになっている男がそれに耐えられるわけもなかった。

 佐藤の一物はさきほどから滑稽なほどに勃起し、競技パンツにテントをつくっている。あとはそれに少しだけ触れれば、すぐに佐藤は射精するだろう。追加攻撃をすれば一撃で失神させてしまうこともできるかもしれない。


「あひひいいいッ!」


 ジュパッ……じゅるじゅるルルッ!

 しかし、純菜は佐藤の一物に触れることをしなかった。彼女は淡々とした目つきで、男の痴態を観察していた。自分が与えた舌の動きに対して、男がどのような反応を見せるかに集中している。

 純菜の舌の動きのバリエーションはあまりにも豊富だった。長い舌が佐藤の歯茎を丹念に舐めたかと思うと、長い舌が佐藤の口内の奥底まで進入して呼吸すら許さない愛撫を繰り返す。次の瞬間には、勢いよく佐藤の舌を吸い上げて自分の口内で拘束し、あめ玉でもしゃぶるようにして男の舌を可愛がった。

 それがひたすら繰り返された。

 もはや佐藤は半分白目をむいて、ビクンビクンと痙攣しながら純菜にされるがままになっていた。

 もはや勝負はついた。それなのに純菜は佐藤を射精させなかった。

 どういうことだろう。何がねらいなんだ。それが分からないままで時計は0:00を刻み、ブザーが鳴った。

 前半ハーフの終了だった。純菜はしっかりとした足取りで自分の陣地に戻り、そこに準備されたイスに座った。佐藤もよろよろしながらなんとかイスに座って、肩で息をしてうなだれている。

 対照的な二人だった。あれだけ責めた純菜はぴんぴんしていて、イスに座ってノートに何やら書き込みをしていた。表情は真面目一辺倒であり、真剣な様子でノートに書き込んでいく。

 俺は気になって純菜側のリングにのぼり、そのノートを覗き見してみた。そこには、さきほどまでの試合の経過が書き込まれ、気づいた点や、佐藤の弱点、効果的な舌の動きが書き込まれていた。それだけではなく、あれだけ圧勝した試合内容だったのに、自分の至らなかった反省点もかなりの分量で記載されている。その真面目な様子に俺は恐ろしいものを感じた。


「じゅ、純菜。ちょっといいか?」

「ん? どうしたの健ちゃん」

「いやな。なんで佐藤のこと射精させないんだ? あれだけの状態になったら、もうあとは触れるだけで射精させられるだろう」


 俺は対角線上のリングで虫の息になっている佐藤を見つめながら言った。

 それに対して純菜は「ああそのことか」と特にこだわりも見せずに口を開いた。


「今日は徹底的にディープキスの練習しようと思ってるんだ。昨日の教材で覚えた舌の動きを全部実践して、マスターしようと思うの」

「試合中もそんなこと言ってたな」

「うん。それで、射精したらすぐ試合が終わっちゃうでしょ? それだと長く練習できないから、あえて射精させないでおいてるんだ。もうちょっとで、キス教本の第1レベルの技はマスターできると思うんだよね」

「お、おい純菜」


 俺が口を開こうとするのと休憩時間の終了を知らせるブザーが鳴るのが同時だった。

 さっそうと立ち上がる純菜と、よろよろとかろうじて立つ佐藤。

 試合再開を告げるブザーが鳴り、佐藤にとっての快楽地獄が始まった。

 そこからはもはや公開処刑だった。

 試合再開直後、今度はパフパフすらせずに、純菜が正面から佐藤に抱きつき、そのまま地面に押し倒した。

 そこからは簡単だ。まな板の上の魚状態となった佐藤は、さきほどまでひたすら快楽をたたき込まれた純菜の唇を目の前にして、いやいやをするように顔を左右に振った。その絶望の眼で怯える佐藤に対して、純菜はどこまでも真面目だった。

 淡々とディープキスを繰り出し、ひたすら教本どおりの動きを佐藤で試していく。佐藤の体は快楽のあまり条件反射でビクンと痙攣する。しかし、その動きすら純菜の大きな胸が佐藤の胴体を潰しているために滑稽な抵抗にしかならなかった。


「あっひいいいいん」


 男に許されたのは甘い喘ぎ声をもらすこと。そして、純菜の舌の感触と胸板を潰してくる爆乳の感触に狂うことのみとなった。


 *


 そのまま一方的に試合はすすみ、時計は03:00を過ぎ、02:59を刻んだ。残り3分となった時、試合終了を予告するブザーが小さく鳴った。

 ちらっと時計を確認した純菜が、そこでようやく唇を離して、上体を起こした。

 佐藤の体を跨ぐ形で、男の体の上で女の子座りで座る純菜。口元をぬぐいながら、彼女の視線は地面に横たわったまま痙攣する佐藤に注がれていた。

 佐藤の口はあまりに過激なディープキスによって半開きとなって、しまうことのできない舌が飛び出ていた。右目だけかろうじて黒目が残っているが、左目は完全に白目になって、ビクンビクンと震えている。「カヒュウー、ヒュウー」と虫の息となった男がそこにはいた。


「もう時間みたい。残念だね」


 純菜が言った。


「もう少しで完全にマスターできると思ったんだけどな。でも、佐藤くんに最大限快楽を与える動きは分かったよ」


 こうでしょ。

 そう言うと再び純菜が佐藤の唇を奪い、男が一番快楽を感じる動きを再現してやった。淡々とした視線で男を観察しながら、口元だけで男を圧倒する。純菜の舌の動きに男のかろうじて残っていた右目の黒目も裏返り、それまでとは比較にならないほどエビぞりになって痙攣した。その痙攣はしかし、男の体の上で女の子座りとなっている純菜の体重が封殺し、男は地面に縫いつけられたままだった。


「うん。やっぱり佐藤くんはこの動きだね。すごく気持ちいいでしょ」


 純菜が再び上体を起こしてニッコリ笑って言った。

 そんな童顔巨乳の少女に馬乗りのマウントポジションをとられている男は、なすすべもなかった。ようやく唇を解放された男は、さきほどから意識の大半を占めていた思いを口にした。


「……せて」

「ん? どうしたの、佐藤くん」

「イかへて……しゃへいさへて……くだひゃい……おねがいしましゅ……」


 懇願。

 バトルファッカーとしては禁句となる言葉。それを口にせざるを得なかったほど、純菜の責めは苛烈だったのだ。


「あ、そうか。射精させてあげないとね」


 純菜が笑って言った。


「それじゃあ佐藤くん。いっぱい気持ちよくなってね」


 ニッコリとした笑顔。

 純菜は余韻もなにもなく、ただ乱暴に佐藤のパンツを脱がして、一物を握った。


「いっきゅうううッ!」


 どびゅどびゅどびゅうううッ!

 それだけで佐藤は勢いよく射精した。ただ握られただけ。それだけで佐藤は射精した。体を痙攣させながら、念願だった射精に頭をバカにさせて放出し続ける。


「いっぱい我慢した分、たくさんイかしてあげるね」


 純菜が言って、そのとおりにした。

 彼女の手が射精の脈動にあわせて動き出し、男の精液を根こそぎ絞りとっていく。男の悲鳴があがるが、その悲鳴は次の瞬間には純菜の唇が塞ぎ、再度のディープキスによって奪われた。

 キスをしながら、熟練した手つきでもって佐藤の一物を責める純菜。さきほどから佐藤の射精は止まらなくなっていた。純菜の手の動きがさらに過激となって、亀頭だけを手のひらで包んでグリグリと回転させる。暴れる男の体を爆乳で押さえ込んで拘束し、亀頭責めを繰り返す。


「いッギイイイイイっ!」


 すぐに佐藤がこれまでと比べものにならない悲鳴をあげ、精液を噴出させた。

 マグマのような白い液体と透明な液体がリングに高々と舞い上がって、それが純菜の体に返り血のように落ちていった。

 潮吹き。

 純菜の完全勝利だった。


「ありがとうございました、佐藤くん」


 リングの上で立ち上がった純菜が言った。

 戦いの勝者が、地面で陸にあがった魚のように痙攣して、今も断続的に射精している敗者を見下ろしている。彼女はそのまま、見せつけるようにして、自分の顔にかかった精液をぺろりと舌を出して舐めとってしまった。トドメとばかりに、自分の手にかかった大量の精液を妖艶に口に含み、ゴクンと嚥下する。

 ニッコリと笑った純菜が言った。


「それでは、第2試合もよろしくお願いします」


 リング下の男子部員たちへの言葉。

 戦慄と共に凍り付いていた男子部員たちは、もはや自分たちの末路を完全に把握していた。

 絞りとられるのだ。

 リング上の真面目で残酷な天使に、全てを搾り取られる。覚悟を決めた男子部員たちは一人づつリングの上にのぼり、純菜に犯されていった。



つづく