カナタはどんどんデカくなった。
身長が、体の分厚さが、1日ごとに増していく。
妹の急成長をただただ呆然と見守るしかない。
(爪先立ちしても、俺、見下ろされてる!?)
なけなしの努力も無駄になる。
妹との身長差はそれほどまでにひらいているのだった。
家の中ですれ違う時に、一生懸命プルプル爪先立ちになるのに、妹の視線はそれよりもはるか高みにある。足の指をピンと伸ばしてギリギリまで背伸びしても届かない。俺はカナタを見上げ、その美貌と、育ち続ける豊満な体に見とれてしまうのだった。
(おっぱいすげええッ)
見ちゃダメなのに見てしまう。
さらに大きくなっていく爆乳。
露出が多めのギャルファッションを好むカナタは、その小麦色に焼けた肌を惜しげもなくさらしていた。谷間の見えるTシャツから覗く乳肉は凶悪の一言だった。柔らかそうで、強そうなおっぱいの隆起から目が離せなくなる。けれど、胸よりもスゴいのが、
(カナタの太もも、やべえええッ!)
ホットパンツから伸びる長くてムチムチな太もも。
尻肉さえ見えてしまうほど丈の短いホットパンツから、迫力満点のムチムチ美脚が目に飛び込んでくる。
小麦色の肌とあいまってアマゾネス感が半端ない。
歩くたびに筋肉の筋が太ももに浮き出てきて、見とれてしまう。太さだって俺のモヤシみたいな脚とは段違いだった。まさに大人の脚。年下の妹の体が、大人の体へと羽化していく。
(兄の俺より、妹のカナタのほうが、大きい)
そのことが実感として分かる。
敗北感で背筋が震える。
それなのにカナタから目が離せない。
家の中ですれ違い、プルプル爪先立ちになる。そんな俺のことなんて歯牙にもかけずに立ち去る妹の後ろ姿に見とれてしまう。ホットパンツから伸びる太ももの迫力を凝視し、妹の姿がなくなってようやく踵を床につける。そんな毎日が続いていった。
*
急成長を支えるカナタの食欲は、もはや獰猛の一言だった。
野生の肉食獣だってこんなにも貪欲ではないだろう。
それくらいカナタはよく食べた。
「むしゃっ、グジャアッ、ゴクンッ」
強靱な顎で固い肉だってすぐに噛み砕いてしまう。
丸呑みするみたいに獲物を嚥下して、カナタの喉が大きく鳴る様子をまじまじと見せつけられる。
今も皿いっぱいにあふれかえったステーキをペロリと平らげてしまった。
それでもおさまらなかったカナタが、俺の分のステーキがのせられた皿をガシっとつかんだ。
「あ」
声をかけるヒマもなく、俺の皿が強奪される。
カナタの大きな体の近くまで引き寄せられたステーキ。俺のために準備した食物が、カナタに食べられようとしていた。
「なに?」
ジトリとした瞳が俺のことを見つめてくる。
猫みたいな吊り目が怖いくらいに俺を凝視していた。
「なんか文句あんの?」
「え、あ、いや」
「どうせ食べられないっしょ? アニキ、食細いもんね」
「で、でも」
「あーし、食べても食べても足りないんだよね。いただきまーす」
がぶりッ。
かぶりつく。
ナイフとフォークなんて使わない。
テーブルマナーなんて気にしない野生児は、まるでチキンでも食べるみたいに両手でステーキをつかみ、ムシャムシャと食べていく。あの固い肉の塊を数回だけで噛み砕き、ゴクンと飲み込んでしまう。それが何度か繰り返されて、あっという間に俺が食べられなかったステーキを平らげてしまった。
「ふー、ようやくお腹いっぱい」
自分のお腹をさすりながらカナタが言う。
露出多めで、ヘソ出しの服装なので、その小麦色の腹がよく見えた。普段は細く引き締まったウエストなのに、今ではぷっくらと膨らんでしまっている。大量の獲物を胃袋におさめてしまったのだ。ふくらんだお腹は、妹の強靱な食欲の象徴みたいに見えた。
「消化しちゃおっと」
お腹をさする。
ごぼおッという音が聞こえた。
まるで魔法でも見ているみたいに、ふくらんでいたカナタの腹がへこんでいく。すぐに元通りの細いウエストに戻って、筋肉質なギャルへと変貌した。
「な、な、な」
現実離れした光景から目が離せなくなる。
なんだか少しづつカナタが人間ではなくなっている気がした。食べたばかりの獲物をあっという間に消化する。命ありしものを栄養素に変えてしまう。その消化器官の優秀さに俺の体がガクガクと震えてしまった。
「す、すごいなカナタ」
「ん?」
「いや・・・・・なんというか、よくあれだけ食べれるな」
俺はまじまじと妹を見ながら驚嘆していた。
「あたり前じゃん。成長期なんだから、あーし」
「せ、成長期か」
「そうそう。BDNFとhGHの数値があがって、脳神経も体も成長してるんだから、たくさん食べなきゃダメっしょ」
また分からない言葉が出てきた。
BDNFとhGH。前にカナタが母さんと話している時にも出てきたっけ。
「な、なんなんだよその、BDNFとhGHって」
「えー、にーに、そんなことも知らないの?」
満腹になって気が緩んでいるのか、昔みたいに俺のことを「にーに」と呼びながら妹が続ける。
「BDNFは脳神経由来栄養素で、hGHは成長ホルモンだよ。脳神経と体を成長させるやつ。こんなの授業でやったでしょ?」
「い、いや、そんなの習ってないぞ?」
「はあ? そんなわけ・・・・・・って、そうか。高等部の生物の範囲だっけ、これって」
あ、やば。
珍しくカナタがそんな顔を浮かべる。
まるで取り繕うようにカナタが続けた。
「と、とにかくごちそう様~。にーにのご飯、うまかったよ」
「あ、ああ・・・・・・よかったよ」
「うんうん。あーしの成長のために、がんばってね、にーに」
カナタが立ち上がる。
その大きさに度肝を抜かれる。
なんだか、さきほど大量の食物を消化したことで、食事前よりデカくなった気がする。食べれば食べるだけ成長する化け物の姿に圧倒されてしまった。
(お、俺も食べなきゃ)
カナタがいなくなった食卓で大量の食物を前に決意する。
箸を伸ばし、からあげをつかんで頬張る。けれども既に限界まで食べた後だったので、すぐに吐き気が襲ってきた。何度も何度も噛んで、固形物がなくなるまで口に含んでから、ようやく飲み込む。それで限界だった。もう俺はこれ以上、一口も食べられそうになかった。
(カナタはあれだけ食べることができるのに・・・・・)
・・・・・俺は食べられない。
消化器官の性能で完敗しているのだ。
たくさん食べて成長していく妹と、
少ししか食べられずに背が伸びないままの自分。
妹よりもメシを食べられないという敗北感が俺の体に染み渡ってくる。生物として劣っている。そんな実感が日増しに強まっていった。
*
身長差はもう明らかだった。
背伸びをしたって、俺はカナタよりも身長が低い。
それが分かっていながらも、俺は爪先立ちを続けていた。
カナタが近くに来た時、俺は条件反射的に爪先立ちになってしまう。ぎりぎりまで足の指を伸ばして立つ。そんなことをしても妹より背が低いままであることは変わらないのに、俺はなけなしのプライドのために、背伸びをしてしまうのだった。妹との身長差を直視したくなくて、現実逃避を続けていた。
―――しかし、
―――ある日の夜、そんな現実逃避すら許されなくなった。
「バレリーナみたいだね、にーに」
ニヤニヤと笑いながらカナタが言った。
廊下ですれ違いざま、いつものように俺が爪先立ちになると、カナタは唐突にその場で仁王立ちになり、俺のことをしげしげと見下ろしながら言ったのだ。
「あーしが近くに来たら毎回爪先立ちして、疲れないん?」
「あ、い、いや」
「ひょっとしてマジでバレリーナの練習なわけ? ぷるぷる震えてるけど」
見下ろされる。
その間も俺は爪先立ちのままだった。
地面に踵をべたっとつけて仁王立ちになった妹の前で、兄である俺は爪先で立ち続ける。足の指に激痛が走って、限界が近いことを教えてくれた。
「ふっ、そんなにあーしに身長抜かされるの嫌だったんだ~」
「ち、違う」
「違わないっしょ。あーしより背が低いこと認めたくなくて背伸びしてるんだよね? ぷぷっ、それなのに妹のあーしより背が低いって、どんだけチビなの、にーにって」
ビクンと体が震える。
足の指が痛い。指先ギリギリでなんとか立っているので、長く体勢を保つことなんてできない。ぷるぷると足腰が震えてくる。そんな情けない姿を、仁王立ちのカナタにニヤニヤと見下ろされた。
「ほれ、爪先立ちがんばりなよ」
「くううううッ」
「背伸びしてもこんだけ身長差あるんだからさ~。もし、爪先立ちできなくなったら、もっと身長差が広がっちゃうよ?」
見下ろされている。
カナタの視線は明らかに下を見ている。
爪先立ちする兄のことを余裕で見下ろしているのだ。妹の視線を受けるために、俺は自然と上を向いてしまっていた。
「ううううううッ!」
それでも俺は耐える。
妹に見下ろされながら必死に我慢する。
足の指が千切れそう。
猫みたいにニヤニヤ笑った吊り目の瞳が恐ろしい。
ぷるぷる震えながら無駄な努力をしている俺のことをカナタが鑑賞しているのが分かる。両手を腰にやって、はるか高みからチビ男を眺めて楽しんでいるのだ。その嗜虐的な笑顔にトドメを刺されて、俺は自分の踵を地面につけてしまった。
―――その瞬間、
俺の視界が下に落ちて、
妹の顔がさらに高くそびえ立ってしまうのが見えた。
「ひ、ひいいいッ!」
思わず悲鳴が漏れてしまう。
これまで必死に見ないようにしていた現実。
妹との身長差。
背伸びができなくなった俺は、踵を地面につけ、本来の視線の高さでカナタを見上げた。
(デ、デケえええええッ!)
俺の首が明らかに上を向いている。
そうしないとカナタのことを視界に納めることができないのだ。
それほどまでに俺とカナタの間には身長差があるのだった。
「ふっ♡ ちっちゃ♡」
カナタがニヤニヤ笑いながら言う。
素に出たようなその言葉で俺の背筋が跳ねた。
「チビ過ぎじゃね?」
「ひいいッ」
「まさかこんだけチビだとは思わなかったな~」
「うううッ」
「ちょっと前まではにーにの方が身長高かったのにね」
「あああッ」
「あーしの身長、教えてやろっか?」
ニンマリと笑いながらカナタが言う。
聞いてはいけない。その客観的数字を聞いたら戻れない。
絶望におののいた俺を見下ろしながら妹が続けた。
「180」
ビクンッ!
「1週間前にはかったら、180センチになってた。たぶん、今はもっと伸びてるんじゃね? ふふっ、この2ヶ月くらいで40センチ背が伸びたことになるねー」
180・・・・・・。
180!?
その数字にただただ驚愕するしかなかった。
カナタはまだ4年生だ。
この前まで俺よりも小さかったのに、この短期間で急成長してしまった。身長だけではない。胸だってお尻だって太ももだって、大人の女性そのものになっている。兄である俺よりも成長してしまった妹の姿に、ドキドキしてしまった。
「で、にーには?」
「え?」
「にーにの身長は何センチなん?」
「い、いや・・・・・」
言えない。
言いたくない。
自分の身長を言えば、あまりにも惨めになる。同年代の男子たちよりも高い身長であることなんて関係ない。180センチを越える長身の妹に、自分なんかの身長を言えるわけなかった。
「あー、そういう態度とるんだ~」
ニヤニヤと妹が笑う。
「妹にそんな態度とるなんて、ナマイキ」
「うっぐううッ!?」
カナタの右手がガバっと伸びてきたと思うと、いきなり胸ぐらをつかまれた。
力まかせにねじり絞められる。
衣服が俺の首を絞めることに利用されてしまっている。
さらには、
「あはっ、軽~い」
「ぐえええええッ」
片手一本。
カナタはそれだけで俺の体を持ち上げ、胸ぐらをつかんだまま俺の首を絞め始めた。
ブラブラと俺の短い足が揺れる。身長差がありすぎるので、足が地面に届かないのだ。その反対に、カナタはカカトを地面にべったりとつけたままだった。
「で、何センチ?」
自分の視線の高さまで持ち上げた俺を凝視しながらカナタが言う。
残酷な猫みたいな瞳が俺のことを真正面から見つめている。吊り目がちな大きな瞳には、顔を鬱血させて悶える男の惨めな顔がしっかりと映っていた。
「言わないつもり?」
「ひゃ、ひゃべろッ」
「言わないなら、絞め墜とすけど?」
「う、ぐっぎいいッ」
「妹に胸ぐらつかまれて、宙づりにされて、首絞められて気絶させられちゃうよ?」
ぎゅうううううッ!
カナタの右手がさらに俺の胸ぐらをねじる。
片手だけで行われる処刑。その強烈な締め上げで一瞬視界が真っ白になり、すぐに息苦しさが頂点に達した。
(ぐ、ぐるじいい・・・・・このままじゃ・・・・・死ぬ・・・・・・・・)
パニックになりながら暴れる。
両手両足をジタバタさせる。
けれどまったく意味がなかった。
俺が全力で暴れているのに、カナタは仁王立ちのまま、ふらつくことすらない。丸太みたいな二本の足で立ち、右腕だけで俺の全てを制圧してしまっている。
(か、勝てない)
それを分からされる。
完全屈服させられて、俺は言った。
「ひゃ、158」
「ん?」
「・・・・・158センチ・・・・・だよ」
言ってしまった。
妹よりはるかに低い身長。
それがとにかく屈辱的だった。
「きゃははッ! チビすぎじゃ~ん!」
「うううッ」
「にーにって、そんなにちっちゃかったんだ」
カナタが俺の胸ぐらをつかんで宙づりにしたまま言う。
ギラギラと興奮した女性が俺のことを穴があくほど「じいいいいいいっ」と凝視してくる。顔をそむけようとしても許されない。真正面でニヤニヤと笑うカナタに鑑賞されていく。
「妹より22センチも下なんだね」
「ううううッ」
「2歳も年下の妹に身長で負けちゃった。アニキ面して偉そうだったのに年下の妹に22センチも身長超されちゃったね」
ニヤニヤ笑っている。
俺はもう屈辱感でどうにかなってしまいそうだった。
体を脱力させ、されるがままになってしまう。
「ふふっ」
抵抗をなくした俺の体がカナタによって引き寄せられる。
妹の顔が接近して―――その美貌にドキンとする間もなく、カナタが俺の耳元で、ねっとりと、
「チ~~~~~~~~~~ビ♡♡」
「ひいいいいいんんンんんんッ」
なぜか体が震えてしまった。
すぐに俺の体が投げ捨てられる。
俺の体がはるか高みから落下し、地面にあおむけに倒れた。
「ごほおっ・・・おええッ・・・・・」
えづく。
妹に首を絞められて満足に息もできなかったのだ。
俺はあおむけに倒れながら首をさすり、必死に酸素を補給するしかない。
そんな惨めな獲物を逃がすカナタではなかった。
「にーに♡♡」
ドスンンッ!
妹が俺の体を跨ぐようにして仁王立ちになった。
俺はそれを見上げることしかできない。
頭上には山みたいな巨体が鎮座している。両手を腰にやって堂々と立つカナタの姿はあまりにも圧巻だった。その迫力に圧倒され「ひい♡」という情けない声が漏れる。怖くて怖くて―――それでもなぜか興奮していた。
「暴力ふるったってこと、ママには内緒にしてよね」
「う♡」
「もしにーにがママに告げ口したら、こうなるからな?」
ぐいっ!
カナタの右足があがった。
俺の顔面に狙いを定めていることが分かる。
大きな足裏が迫力満点で俺の視界を覆っていた。
このまま踏み潰されちゃう♡
そう思うとなぜか「あひんっ♡♡」という声が漏れた。
そのまま、
「ほーれ♡」
どっすうううんんッ!
妹の足裏が勢いよく俺の顔面めがけて振りおろされた。
目をつむって激痛を覚悟していると、俺の顔の真横にカナタの足裏が炸裂していた。すぐ間近の床が踏み潰され、その衝撃と音が、俺の脳みそに刻まれた。
「なーんてね」
妹がイタズラに成功したように言う。
「さすがにまだ顔面を踏み潰したりはしないし。びっくりした?」
「うううッ」
「あはっ。涙目じゃん。受ける」
ニヤニヤ笑いながらカナタが言う。
「ほんと、にーにってチビ助だよね」
「ひいんッ」
「チビ助のことなんて、いつでもボコれるんだからな? ママには言わないこと。いい?」
生きた心地がしない。
俺はコクコクと首を縦に振って服従した。
カナタに―――俺よりも体の大きな妹に従順に振る舞うしかなかった。
「よしよし」
満足したのか、俺の体を跨いで立っていたカナタが去っていく。
その大きな後ろ姿と、ホットパンツから伸びる美脚に魅了される。
俺はしばらくの間、あおむけに倒れたままだった。気づけば、俺の股間には滑稽なテントがつくられ、盛大に勃起していた。
●●●
顔面踏み潰し未遂があってから―――、
俺はますます、妹の美脚に魅了されるようになってしまった。
日々成長を続けるカナタの体にあって、一番育っているのが下半身だった。巨大な臀部から伸びる太もも。引き締まった腰よりも太い太ももに圧倒される。ムチムチしていながらも筋肉質で、歩くだけでムッキリと浮き出てくる筋肉の筋に心が奪われてしまう。
「うううッ♡」
そんな姿を思い浮かべては悶絶する毎日。
一人で寝転がっては、顔面を踏み潰された時の光景を妄想してしまう。迫力満点の足裏が俺の顔面に狙いを定めてきた時のことを思い出しては興奮する。妹の足に魅了されてしまう。
「か、カナタ♡ しゅごい♡」
自室で悶々とする。
巨大になっていく妹の姿を妄想してしまう。
日々成長していく妹に心を奪われてしまう。
デカい妹の女体に興奮してしまう性癖。
それは新たな日課によって重症化していった。
「ほらアニキ。こっち来いよ」
ニヤニヤ笑いながらカナタが言う。
夜の食事を終えた食卓でのことだ。
そこで、カナタが最近の日課をこなそうとしている。
新しい日課―――妹の新しい遊びは、俺の身体測定だった。
「も、もういいだろ。昨日も計ったんだから」
「だめだめ。いいから来いって。ほら」
腕をつかまれ、強引に引き寄せられる。
そして巨大な妹の前に直立不動で立たされるのだ。
はるか高みにある妹の視線によって見下ろされる。
それだけで生きた心地がしなく―――なぜか興奮した。
「ふふっ、じゃ、身長はかりっこしようね~」
ニヤニヤ笑いながらの言葉。
カナタの手が伸びてきて、俺の頭の上に乗る。
無造作にグリグリと頭を撫でられる。
その手つきだけで、妹が俺のことを【下】に見ていることが分かった。俺に屈辱を与えるための動作。妹がニヤニヤと俺のことを見下ろしている。
「さてと、じゃ、はかろっか」
カナタの手が俺の頭から離れる。
自分の体のほうへと手を引き寄せていく。
そして、その手は妹の鎖骨の下あたりにぶつかった。
ニンマリとカナタが笑った。
「あはっ、チビすぎ♡」
「うううッ」
「あーしの身長、また伸びたみたい。また差ひらいちゃったな」
「ひ、ひい♡」
「こんだけチビだとかわいそうになってくるよ。ほらほら、にーにの視線ってこんなに低いんだもんね~」
そう言ってカナタがかがむ。
前かがみになって、俺と視線をあわせてくる。
まるで大人が子供と同じ視線になるようにかがんでいるみたいだった。俺は年上なのに―――男なのに―――兄なのに―――妹から子供扱いされている。そう思うだけで体が震えた。
「ふふっ」
カナタが笑って顔を寄せてくる。
猫みたいな吊り目が至近距離に見え、すぐに俺の耳元に口を寄せてきた。そして、いつもみたいに、
「チ~~~~ビ♡♡」
「ひいいいんッ!」
ねっとりとしたウィスパー声で囁かれる。
俺の脳髄に妹の声が侵食してくるのが分かる。
年下の妹から「チビ」とバカにされて、自分がそういう存在なのだと分からされてしまうのだ。
これが日課だった。
カナタは毎日俺の身長をはかり、ますます開いていく身長差を分からせた後、俺の耳元で「チ~~~~ビ♡♡」と囁く。これをされてからというもの、俺の身長は1ミリだって伸びなくなってしまった。まるで妹から「チビ」呼ばわりされただけで、俺の体がチビであることを認め、それ以上成長しなくなったみたいだった。
(奪われる・・・・・俺の身長が・・・・・妹に奪われて・・・・・・・)
そんなはずがないのに、そんなふうに思えて仕方ない。
チビ呼ばわりされて悶える俺のことを、妹がニヤニヤしながら見下ろしている。その嗜虐的な笑顔から、俺は目が離せなかった。
*
そうして背比べは繰り返されていった。
毎日、夕ご飯の後に身長をはかられた。
妹は順調に成長を続けているみたいだった。
背比べの時に妹の手があたる場所はどんどんと下がっていった。
そして最後―――
ついに俺の身長は、カナタのおっぱいと同じ高さになってしまった。
「あはっ、にーにの身長、あーしのおっぱいより低いじゃーん」
妹から指摘されなくてもそんなことは分かっていた。
だって真正面を見つめれば明らかだ。
俺の真正面に立った妹の大きな体。
俺の視線は、そんな妹の爆乳より若干低い位置にあった。おっぱいを見上げる格好になっている。それなのに、丈の短いTシャツからのぞく谷間とか、布地を押し上げている爆乳の迫力が目の前に迫っていて、どうしようもなかった。
(おっぱい、デケええええッ!)
それしか考えられなくなる。
デカすぎる妹の爆乳を凝視してしまう。
Tシャツ越しにそびえ立つ巨大なおっぱいから目が離せない。
だから、妹がニンマリと笑ったことにも気づけなかった。
「ほいっと」
どっすんんんんッ!
俺の頭頂部が潰された。
大きくて重いモノが俺の頭に乗ったのだ。
それは妹の爆乳だった。
「うッ!」
ずっしりと重い妹のおっぱいが俺の頭に乗っている。
柔らかい乳肉がぐんにゃりと伝わってくるのだが、それ以上に感じるのは圧迫感だ。
すさまじい重量。
俺の首が悲鳴をあげているのが分かる。
おっぱいを乗せられ、その重量に耐えきれず、下を向いてしまう。
妹と俺は真正面で相対している。
だから下を向かされ、さらに密着させられると、俺の顔面はカナタの剥きだしのお腹におしつけられることになった。ヘソ出しの格好で露出した生肌に顔面をこすりつけてしまう。代謝多めでしっとりとした肌と、割れた腹筋の感触で、俺の体がビクンと震えた。
「あはっ、あーしのおっぱい、にーにの頭の上に乗っちゃったね」
俺の頭頂部に爆乳を乗せながら、妹が言う。
「わかってる? にーにはあーしのおっぱいより身長が低いんだよ? そうじゃなきゃ、こんな簡単におっぱい乗らないもん。そんだけ身長差がひらいちゃったなんて、惨めだね~」
煽ってくる。
けれど反論なんてできなかった。
だってそのとおりなのだ。
俺は妹のおっぱいにすら身長が届かないチビなのだ。
「重いっしょ、あーしのおっぱい」
「う」
「我ながらビビるよね~。どんどんデカくなってさ~。そのたんびにブラも変えなくちゃで大変なんだ~」
「あ」
「114センチのKカップだってさ~。やばくない?」
なんの気なしに知らされたサイズに体が震える。
Kカップ。
それが俺の頭の上に乗っているのだ。ずっしりとした重さと、柔らかい感触で、カナタの胸のデカさをまじまじと実感させられる。
「身長も伸びて、193センチになってた」
「ひい」
「にーには158のまんまなんっしょ? ふっ、もう身長止まっちゃたんかなー。かわいそう」
ぐりぐり。
おっぱいが動かされて、さらに俺の頭頂部を潰す。
はるか巨大な妹の体が俺にのし掛かってくる。頭だけでなく体全体が潰されている感覚になる。それだけ妹の肉体は格上だった。身長だけでなく筋肉量でも自分が劣っていることが分かる。
(俺より・・・・・カナタの肉体のほうが上なんだ・・・・・)
妹に肉体の性能で完敗している。
それがとても屈辱的で・・・・・そのはずなのに興奮した。
「これからは、にーにのこと、乳置きとして使ってやっからな」
ぐりぐりとおっぱいで俺の頭頂部を潰しながら妹が言う。
「胸デカくなって肩こるようになったからさ。乳置きがあると便利なんだよねー。ふふっ、ちょうどいい高さににーにの頭があるから使ってやるよ」
ぎゅうううううッ!
さらに体重をかけられる。
俺はプルプルと震えながら、必死に妹の重さに耐えていった。
その間も俺の肉棒は滑稽に勃起し、ズボンに惨めなテントをつくっていった。
●●●
6年生となれば性に目覚める。
ましてや近くに大人顔負けの肉体に成長したカナタがいるのだから尚更だった。俺は妹の体を想像しながら、オナニーをするようになってしまった。
「うううッ♡ カナタ♡」
ダメなのに。
妹を想像してオナニーなんてしちゃダメなのに。
それでも右手が止まってくれない。
思い出すのはカナタの美脚だった。
「長い♡・・・・・カナタの脚♡・・・・・すごい♡・・・・・・」
おっぱいよりも脚に興奮している。
乳置きとして使われた経験があっても、それは変わらなかった。
オナニーをする時にはいつも床にあおむけになる。冷たいフローリングの上で無防備に寝転がり、あの時のことを思い出して、シコシコと肉棒をシコっていくのだ。
「踏み潰される♡・・・・カナタの脚♡・・・・うッ♡」
あおむけに倒れた俺の体を踏み潰そうとしていた大きな足裏。
その迫力を思い出し、それが自分の顔面を踏み潰す姿を想像して、興奮する。
あの時のカナタの美脚・・・・・・ムチムチかつ筋肉質な太ももと、すらっとしたふくらはぎの格好よさを想像しただけでダメになる。
「カナタの脚♡ 俺とは比べものにならないほど長い♡」
日常でも見とれてしまう美脚。
成長した今となっても俺とカナタの座高は変わらない。
座っていると同じ視線になるのだ。
けれどカナタが立ち上がった瞬間、俺とカナタの差が歴然となる。はるか高みにあがった妹の顔がニヤニヤと俺のことを見下ろす。それを可能にするどっしりとした美脚。腰が高い位置にあって、股下の長さも段違いだった。ムチムチで筋肉質な妹の美脚を妄想した瞬間、俺は射精した。
「うっ」
惨めな射精をティッシュに放つ。
床に寝ころび、踏み潰されそうになった過去を大事に思いだしながら射精する。その瞬間、強烈な罪悪感と虚無感が襲ってきた。
(なにやってるんだ俺・・・・こんなことで・・・・・妹に興奮して・・・・・きもちわるい)
自分でもそう思う。
けれどどうしようもなかった。
毎日強制される身体測定で興奮し、妹の大きな体で勃起してしまうので、オナニーしないとどうにかなってしまいそうだった。
「なんで・・・・俺・・・・・こんな・・・・・」
自分で自分の衝動が理解できない。
けれど俺は毎日のようにオナニーしてしまう。
妹の大きな体と美脚を想像しては精を放つ。
いったい俺はどうなってしまうんだろう。
●●●
俺の身長は伸びなかった。
妹との身長差が縮まることはない。
カナタはどんどん成長していった。
ナマイキな態度も増長していて、注意をしようとするのだが、どうしても気後れすることが多くなった。妹は俺よりも身長が高いのだ。体の厚みだって妹のほうが上だ。自分よりも格上の肉体をもつ妹に注意をしても良いのかと、そんなことを思ってしまう。
(本当なら、父さんに注意してもらいたいんだけど・・・・・)
その肝心な父さんの様子がここのところおかしかった。
カナタを前にするとビクビクと震え、そうかと思うと恍惚とした表情でカナタのことを見つめていた。とにかくカナタを前にすると使い物にならなくなる。これまで担当してくれていた料理も満足にできなくなって、食事の準備は俺一人でやるようになっていた。
「あー、まあしょうがないよね~」
夕ご飯を食べながら妹が言う。
食卓には俺とカナタの二人だけが座っていた。
父さんはというと、一人で自分の部屋にひきこもっている。それを心配して「父さん大丈夫なのかな」と問いかけたところ、カナタが言ったのだ。
「ちょっと過激にやり過ぎちゃったんだよね」
「は?」
「ひょっとしたら人格ブっ壊しちゃったのかも」
「おいカナタ、おまえ、なに言ってるんだ?」
「ん~? 別に~なんでもないよ~」
ぱくりと。
カナタが俺のつくった食事を食べていく。
大量に準備した食べ物が、あっという間に妹の胃袋へと消えていく。
そしてまたカナタは成長するのだ。大量の食事をとって、どんどんデカくなる妹の姿。それを見ていると体が震えてしまう。まるで神様に生け贄を捧げているような、そんな気分になった。
「それにしても、おいしいね、にーにのご飯」
「そうか?」
「うんうん。アイツがつくってたのと比べてもおいしいよ。ますます食べちゃう」
ぱくり。
さらに食べていく。
好き嫌いなく、これまで不足がちだった魚も野菜もおいしそうに食べてくれる。それがとても嬉しかった。
「あ、そうだ。今度の土日、ヒナタが遊びにくるからね」
「おー、そうか。泊まりにくるのか?」
「そうそう。だから、ご飯の準備とか、よろしく~」
「ああ。それにしてもずいぶん久しぶりだな」
カナタたちが4年生になってから、ヒナタちゃんが家に遊びにくることがなくなっていた。ここ数ヶ月、ヒナタちゃんの姿を見た記憶もない。
「そりゃあ、ヒナタの家、昔からの古い家系だからね~」
「それがどうしたんだ?」
「入学前の練習もだいぶ厳しいみたいで、遊ぶヒマもなかったみたいよ」
「練習って、ヒナタちゃん何か習い事してるのか?」
「習い事? ・・・・・・ああ、そうだね。ある意味そうだよ。女の子様みんなの習い事だね~。最近一段落したとかで、ようやく遊べるんだよね~」
ニヤニヤ笑いながら俺のことを見つめてくる。
その嗜虐的な笑顔の意味が分からず俺は困惑してしまった。
「ま、とにかく、ヒナタの姿見たらびっくりすると思うよ?」
俺のことを見つめながらカナタが続ける。
「当然、ヒナタも成長してるから、ね?」
その言葉で体が震えてしまう。
あのちっちゃかったヒナタちゃんが成長している。
妹と同じように体が大きくなっている。
それを想像しただけで俺の体が震えた。
カナタだけがニンマリと笑い「順調順調♪」とつぶやいていた。
*
週末がやってきた。
現れたヒナタちゃんを見て俺は度肝を抜かれた。
「お兄さん、お久しぶりです」
絶世の大和撫子がそこにはいた。
漆をぬったような黒髪の長髪。
座敷童みたいだった幼さがどこかに消え、輪郭のしゅっとした小顔の美人になっている。そして当然のように身長がデカくなっていた。カナタより若干低いくらいの長身。見上げなければその顔を見ることもできない。しかし、身長よりも驚いたのが、ヒナタちゃんの胸だった。
(お、おっぱいデケええええッ!)
大人っぽい清楚シャツはヒナタちゃんの体のラインにぴったりと張りついていた。
腰高のロングスカートを着用しているせいで、細いウエストが引き締まって見え、そのおかげでシャツを隆起させる爆乳が強調されている。これまで見てきた中で一番のおっぱい。黒髪ロングの清楚な顔立ちと、その淫らなほど育った爆乳との対比で、俺は一言も言葉を発することができなかった。
「どうしました、お兄さん」
膝を折ってかがみ、下からのぞきこむようにしてヒナタちゃんが言う。垂れ目がちの大きな瞳に吸い込まれそうになるのだが、それよりも彼女のおっぱいが太ももでぐんにゃりと潰れている光景に夢中になってしまう。
「ひょっとして、わたしのこと忘れちゃいました?」
「あ、いや・・・・・」
「久しぶりですもんね。わたし、ヒナタですよ?」
そんなことは分かっている。
けれども驚きすぎて昔みたいに話せないのだ。
そんな俺のことをカナタはニヤニヤと見下ろしていた。
「あー、アニキってば顔真っ赤じゃ~ん」
煽るようにして妹が言う。
「成長したヒナタ見て、興奮しちゃってるんだ~」
「ち、ちがッ」
「違わないっしょ? すごい目でヒナタのおっぱいガン見してたし~」
恥ずかしくって顔をうつむかせる。
けれど見えてくるのは、かがんで、太ももで押し潰された爆乳だけだ。妹の友達のおっぱいをガン見してしまって、妹の言葉どおりであることを証明してしまった。
「ふふっ、大丈夫ですよお兄さん」
ヒナタちゃんが優しく言う。
「男の人はおっぱい好きですもんね。だから、ついついチラ見してしまうのも仕方ないんです」
「あ」
「そんなことより、大きくなったわたしのこと怖がらなくて偉いですよ。ふふっ、学校以外で、男の人と対等に接するのってすごく久しぶりなので、新鮮です」
おりこうさんです。
そう言ってヒナタちゃんが右手を伸ばしてくる。
あ、と言葉を発するヒマもなく、頭を撫でられた。
なでなでと、優しく、慈愛のこもった手つきで。
それは間違いなく、大人が子供にやる動作だった。
2歳も年下で、俺よりも身長の低かった女の子に頭を撫でられて屈辱的・・・・・・・そのはずなのに、
(き、きもちいいいいッ)
ヒナタちゃんに頭を撫でられただけで脳みそがイっている。
頭がじいいんっと麻痺してしまうのが分かる。にっこりとした包容力あふれる笑顔にもヤられて、俺は一瞬でポワワ~ンと脱力してしまった。
「うわっ、ヒナタってばさすが~。アニキのこと一発で骨抜きにしちゃったし」
仁王立ちのカナタが俺たちのことを見下ろしながら言う。
「それも家の習い事で教わったことなん?」
「うん、そうだよ。でもあまり使わないけどね。恐怖で支配したほうが楽だから」
「あ~、ヒナタってばホント、アニキのこと気に入ってるよね。ヒナタの家の練習台たちはかわいそうだけど~」
妹たちの会話が頭に入ってこない。
それほどまでに頭が撫でられている心地よさがすごい。まさに魔性の手つき。半開きになった口から涎が垂れてしまう。その瞬間、ヒナタちゃんが立ち上がった。
「あ」
さきほどまで膝を折ってかがんでいた女の子が立ち上がっただけで、圧倒されてしまう。
俺のチビな体が彼女たちの大きな肉体がつくる影にすっぽりとおさまってしまった。そして見下ろされる。超絶美人たちにはるか高みから見下ろされて、俺の体がビクンと痙攣してしまった。
「今日これからカナタちゃんと一緒に遊ぶんですけど、お兄さんも一緒にどうですか?」
「あへえ?」
「久しぶりなので、お兄さんとも一緒に遊びたいです。ダメですか?」
頭を撫でられた心地よさが残っている。
俺は「コクン」と頷いてしまった。
ヒナタちゃんの顔にヒマワリみたいな笑顔が咲いた。
「じゃ、いこっか、あーしの部屋」
カナタがニンマリ笑って、ヒナタちゃんがニッコリと笑う。
二人の長身爆乳女性にうながされて、俺は彼女たちの後をついていった。
しかし、本来だったら逃げるべきだったのだ。
俺は、自分が屠殺場につれられていく子牛の立場であることに最後まで気づけなかった。
*
カナタの部屋。
久しぶりに入ったその部屋は昔と変わらなかった。
母親に買ってもらった大きなベットがあって、勉強机と椅子がある。ラック棚には真っ赤なボクシンググローブがインテリアとして飾ってあって、その隣にはバカデカいウサギのぬいぐるみがあった。
(あのぬいぐるみ、まだ持っていたのか)
昔、俺がカナタにプレゼントしたぬいぐるみだった。
巨大な耳がついていることが特徴的なウサギのぬいぐるみ。妙に傷だらけなことは気になったが、それをまだカナタが持っていたことに驚いた。
「うわー、わたしたち、ちっちゃいね」
妹の部屋をキョロキョロ見渡していると、ベットに腰かけたヒナタちゃん達がアルバムを鑑賞していた。
デジタルデータの画像をわざわざ印刷してアルバムにしてあるのだ。それは父さんの趣味だった。俺たちの成長記録がおさまったアルバム。その中には遊びに来た時のヒナタちゃんの写真もあった。
(ほんとうに・・・・・ちいさい・・・・・)
写真の中の二人は体が小さかった。
身長が低くて、体つきもモヤシみたいな女の子たち。
それが数ヶ月前に撮影された写真だとは信じられない。
アルバムの中の小さな生物と、目の前の大きな生物が同一人物とは思えなかった。
(あらためて見ると、カナタもヒナタちゃんも大人っぽい♡)
ギャルファッションで露出多めのカナタと、
清楚お嬢様みたいな格好をしたヒナタちゃん。
カナタのホットパンツから伸びる極太の太ももを見て悶絶する。ヒナタちゃんの清楚シャツを隆起させている爆乳を見てゴクリと唾を飲み込む。自分よりもはるかに成長した大人っぽい女の子たちを見て、俺はハアハアと息を荒くしてしまった。
「それにしても変わらないね、カナタちゃんの部屋」
ヒナタちゃんが部屋の中を見渡しながら言う。
「ほら、ウサギのぬいぐるみもある。あれってお兄さんからプレゼントとしてもらったものなんだよね?」
「うん。そだよ~」
「いいね。わたし、一人っ子だから、兄からのプレゼントって憧れちゃう」
ふふっと優雅に笑うヒナタちゃんだった。
その大人っぽい笑顔に俺の心がざわついた。
「いいでしょー。コレ気に入ってるんだ~」
カナタが自慢げに続けた。
「こうやって遊ぶんだよね~」
立ち上がったカナタがぬいぐるみをつかむ。
巨大な耳を片手でわし掴みにして壁前に陣取り、俺のことをニンマリと見下ろしながら、
「ほれ♪」
どっすんん!
殴った。
ウサギのぬいぐるみを殴って、部屋の壁にめりこませる。
ぬいぐるみの顔がカナタの右拳によってグンニャリと潰れている。妹の握り拳はまがまがしい迫力に満ちていた。その大きくて固そうな拳骨がぬいぐるみの顔面にめりこみ、さらにはグリグリと殴り潰されているのだ。巨大な耳をつかまれ宙づりにされたぬいぐるみは、逃げられず、妹の右拳をさんざんに受けるしかない。
「こうやって殴ってストレス解消してんの」
どっすんんんッ!
カナタが連続で殴る。
ぬいぐるみが壁に叩きつけられ、それが連続した。
「ボクシング禁止されてから、殴り足りなくてさ~」
どっすうんんッ!
「だから、にーにからもらったぬいぐるみ殴ってストレス解消してる」
ばっぎいいいッ!
「おかげで、ぬいぐるみボロボロになっちゃってヤバいんだよね。この前も耳とれちゃって、ひどかったもん」
べっぎいいいッ!
殴っていく。
そのたびにぬいぐるみが破壊され、壁がミシリと音を立てていく。衝撃音が伝わってくるほどの破壊力。そのパンチの威力を間近にしただけで、俺はガクガクと震えてしまった。
(たまにカナタが壁ドンしてきたの、これだったんだ)
俺がプレゼントしたぬいぐるみを殴っていたのだ。
そうしてボロボロになってしまったウサギの姿を見て、俺はそこに未来の自分の姿を重ねてしまった。なぜかは分からない。けれど俺は妹から殴られ、ボロボロになっても許されず、永遠に拘束されたままであるウサギと自分を重ねてしまっていた。
「もう素直じゃないんだから、カナタちゃんは」
ぬいぐるみを殴って遊ぶカナタを見つめながら、ヒナタちゃんが言う。
「殴る相手なんていくらでも準備できるのに」
「ん?」
「ぬいぐるみが特別だからこうやって遊んでいるんでしょ?」
「ち、違うし。そんなわけないっしょ」
「違わないよ。殴りたい相手を殴れないから、代わりにぬいぐるみを殴ってるんだよね?」
ヒナタちゃんが「うん」と相づちを打って、
「でも、気持ちは分かるよ」
「ひ、ヒナタちゃん?」
「わたしも同じ気持ちだもん」
ヒナタちゃんも立ち上がった。
その圧倒的長身から俺のことを見下ろしてくる。
彼女はどこか真剣そうな表情を浮かべていて、俺は怖くなった。
「ふふっ、本当にちっちゃくなりましたね、お兄さん」
にこっとした笑顔が怖い。
その仮面の奥に眠っているヒナタちゃんの本性を感じてビクビクと震えてしまう。
「わたしがそれだけ大きくなってしまったんですよね」
「う、あ」
「背比べしましょうか。ふふっ、毎日カナタちゃんとやっているみたいに、わたしとも背比べしましょう」
不敵に笑ったヒナタちゃんが俺の頭に手を乗っけてくる。
さきほど俺に快感をもたらした魔性の手のはずなのに、今は恐怖しか感じなかった。カナタも近づいてきて、新しく始まった遊びをニヤニヤしながら見下ろしてきた。
「いきますよ、お兄さん」
ヒナタちゃんの手が、俺の頭から離れてすぐに豊満な爆乳にあたった。清楚シャツを隆起させている乳肉がヒナタちゃんの手にあわせて「ぐんにゃり♡」と潰れた。
(しゅ、しゅごいいいいいッ!)
蠱惑的に変形したおっぱいから目が離せなくなってしまう。その光景は同時に、俺の身長がヒナタちゃんのおっぱいぐらいしかないことを意味していた。
「187センチ」
ヒナタちゃんが静かに告げた。
「わたし、187センチになっちゃいました」
「ひゃ、ひゃく?」
「はい。ここ数ヶ月でだいぶ成長しました。あ、おっぱいは120センチのLカップです」
もうダメだった。
身長だけでも情報過多なのに、おっぱいのサイズを教えられて頭がショートしてしまう。
自分にできるのはただただ凝視することだけ。
120センチのLカップという現実離れした爆乳を目の前にして、視線がソコに吸い寄せられてしまう。そんな俺を置いてけぼりにして、カナタがヒナタちゃんに話しかけた。
「あー、身長は勝ったけど、おっぱいでは負けてるんだよね~」
「まあね。でも、わたしとしてはカナタちゃんの脚のほうがうらやましい」
「え~、なんでよ。こんな極太の太ももなんて、ダサくない?」
「ダサくないよ。それで締め上げたらすごいでしょ? 脚に比べたらおっぱいなんか威力ぜんぜんないし」
ぐんにゃああああッ!
ヒナタちゃんの両手が乳房の側面にあてがわれて、おっぱいを寄せあげる。
おっぱいがグンニャリと変形した。乳肉と乳肉が互いに潰れあって蠱惑的な谷間を形成している。シャツごしなのにその柔らかさと大きさが強調されて、俺の意識のすべてはおっぱいに持っていかれてしまった。
「ふふっ、凝視しちゃってますね、お兄さん」
ヒナタちゃんの言葉で我にかえる。
年下の女の子がはるか高みから俺のことを見下ろしていた。
「だいぶ身長差がついてしまいましたね」
「う♡」
「身長だけでなく、体つきも格差がすごいですね」
ヒナタちゃんの体が近寄ってくる。
その体温さえ感じられるような至近距離。
熱量や肉の柔らかさが伝わってくる。甘い匂いで脳みそが溶けてしまいそう。鼻先が触れるほどの近くにLカップ爆乳がある。俺は自分の肉体のみすぼらしさを実感させられた。
(勝てない♡ 俺はヒナタちゃんにも勝てないんだ♡)
それを分からされる。
密着したヒナタちゃんの体を感じて悶絶する。
自分よりも成長した女の子の姿に興奮してしまった。
「バカにーに、なに興奮してんだよ」
不機嫌そうにカナタが言って、俺の体が引き寄せられる。
カナタとヒナタちゃんの体に挟まれる形になった俺は、巨大な壁と壁に挟まれてしまったのと同じだった。
二人の爆乳が威圧的に俺の頭部を狙っている。
腰の高さがはるか上にあって、股下の長さが違うことを分からされる。
4つの巨大乳房と4本の美脚に捕らえられた俺は、蜘蛛の巣にかかって食べられるのを待つ獲物に他ならなかった。
「もう逃げられないな、にーに」
「もう逃げられませんよ、お兄さん」
囲まれながら宣言される。
アマゾネスたちの瞳が妖艶に輝く。
はるか高みから見下ろされて―――勃起してしまった。
つづく