夢を見た。
大きな白い蛇に襲われる夢だ。
彼女の体は大きくて分厚かった。その大蛇は私の全身にぎっちりと巻きついてきていた。身動きがとれない。それなのに苦しさはなかった。なぜかとても柔らかかった。ひんやりとした餅肌。底なし沼みたいに沈んでいく体。そして、全身に伝わってくる性的な快感。それがずっと続いた。
「ごめんなさい」
声がした。
それは巳雪さんの声に似ていた。
私のまぶたが自然とひらいた。
「ごめんなさい」
ぼんやりとした視界の中。
疲れ果てた体の重さを感じながら、巳雪さんに似た全裸の女性を見上げる。
月明かり。
幻想的な雰囲気に照らされた極上の女体。
そのおっぱいの大きさに圧倒されてしまう。彼女の体から何かピンク色の蒸気みたいなものが出ている。強く熱く欲情している女性が、当然のように私の一物を握った。
「う」
私の体がビクンっと跳ねた。
握られただけ。
それなのに体全体に性的な快感が爆発した。
自分の体が自分のものではなくなってしまった気がする。何度か断続的に体が跳ねて、ようやく気づく。目の前の女性は巳雪さんだ。これは夢ではない。就寝中に襲われているのだ。
「ごめんなさい」
巳雪さんが繰り返し言う。
瞳をうるませて、今にも泣きそうになりながら、その欲情しきった視線で私のことを見下ろしてくる。
「もう・・・・・・我慢が・・・・・・」
ハアハアという荒い息遣いが聞こえる。
欲情しているのだ。その乱れた姿はあまりにも妖艶だった。
「き、きもちよく、しますから」
巳雪さんが言う。
「ごめんなさい」
始まったのは性的な暴力だった。
熱烈な手コキが私の肉棒を殺しにかかってくる。巳雪さんの手が動くたびに私の体が嘘のように痙攣した。
「うううっ!」
声が漏れてしまう。
巳雪さんの右手がねっとりと竿に絡みついてくる。長くて白い指が竿に巻きついて変幻自在に動きを変えていく。亀頭を包み込まれてぐりぐりと回転させられたかと思うと、強烈なピストンで蹂躙される。
それとは正反対に巳雪さんの左手は私の玉袋を繊細なタッチでなぶってきた。触れるか触れないかの絶妙な生殺しタッチで玉袋の愛撫が続いていく。その動きによって性欲が極限まで高められていくのが分かった。
「み、巳雪さん、な、なんで」
訳も分からず声をかける。
しかし目の前の女性は理性を失ってしまっていた。
「ふうううッ! ふうううッ!」
鼻息を荒くした女豹。
瞳をハートマークにして欲情した痴女が、ただ熱烈に私の一物を責めてくる。昼間の理性的で上品な女性がこうも乱れているかと思うと興奮した。彼女の手コキであっという間に追いつめられて、すぐに射精しそうになる。
「ま、まってください。もう」
「・・・・・・」
「あ、だめ・・・・だめですからッ!」
「・・・・・・」
今の巳雪さんには声が届かない。
逆に私の限界をさとったのか、巳雪さんの手の動きが過激さを増した。すぐに射精させる。そう決意していることが分かる執拗な手つき。私はそのまま射精した。
「ああああッ!」
どっびゅううううッ!
びゅっびゅうううッ!
命が奪われていくのが分かる。
射精が止まらない。
それを継続させているのは巳雪さんだった。彼女は射精中だろうが容赦なく、私の肉棒を虐殺していった。丹念に、執拗に、射精中の肉棒に追い打ちをかける。
―――一滴たりとも逃がさない。
そう決意しているみたいな動きで、射精の脈動にあわせて竿を根本から亀頭までしこっていく。彼女の手の動きにあわせて私の射精が永遠と続く。ゆっくりと、射精の脈動の間隔が遅くなる。それでも巳雪さんは止めてくれなかった。最後の一射精まで丹念に、どこまでもしつこく、巳雪さんが私の子種を搾り取ってしまった。
「ふふっ」
目の前の女性が妖艶に笑った。
「すごい・・・とっても・・・」
巳雪さんが欲情しきった瞳を浮かべている。
精液まみれになった自分の手。さんざんに私の肉棒を虐めまくり、精液でドロドロに汚れた手を、巳雪さんがネットリと見つめていた。
「すごく上質な・・・・・・子種」
妖艶な笑み。
もはや私のことなんて目に入らないように、彼女は自分の手にこべりついた精液を愛しげに眺めている。私はそんな彼女のことを、射精直後の消耗しきった倦怠感の中で見上げていた。
「ふふっ、いただきます」
妖艶に笑った彼女が舌を出した。
それは長く肉厚な舌だった。まるで蛇みたいだ。顎の下まで伸びた舌に圧倒されていると、巳雪さんはそのまま精液を舐めた。舌ですくうように精液を絡めとり、そのまま口に運んで食べてしまう。
「んっ」
官能的な喘ぎ声。
その甘ったるい声だけで私の下半身がびくんと反応してしまった。
「んっふ・・・・・・んっ」
喘ぎ声が続く。
頬張った精液を味わっている。
飲み込むことなく、その感触と味を堪能しているのが分かる。さきほどまで自分の一部だった子種が、女性の口の中に捕獲されて食べられてしまっていた。
「ンッ」
声が響き、喉が嚥下する。
ごくんと喉が大きく鳴って、飲み込んでしまった。
その効果は激烈だった。
「んんんっ・・・・・・すごい」
夢心地になった巳雪さんの声。
その大きな体が明らかに存在感を増した。あれだけ枯れ果てた印象のあった彼女の体に、生命力がみなぎるようだった。その迫力を前にして、私はなぜか、この生物には勝てないと強く思った。
「・・・・・・おいしい」
ねっとりとした視線で幸せそうに笑った女性。
彼女の視線の先には私の精液がある。
まだこんなに残っている。
そんなことを考えていることが手にとるように分かるほど、巳雪さんが私の放出した子種を愛しげに見つめて、そして、
「んっふううっ」
ジュルウウウウッ!
ジュバアアジュッルッ!
かぶりついた。
自分の手ごとむさぼり食らうみたいに、巳雪さんが精液を食べ始める。じゅるじゅるっと、私の子種がすすられて、そのまま捕食されてしまう。喉がゴキュンゴキュンと鳴って、味わうことなく単純に食べていく。
「ああああッ」
私の口から声が漏れる。
食べられてしまっている。私の精液が、目の前の女性に喰われ、消化されてしまう。そのことがとても官能的に思えてならなかった。
あれだけあった精液があっという間になくなる。
巳雪さんが興奮した瞳のまま、自分の手を舐め始めた。あの長い舌を出して、ぺろぺろと舐め続ける。一滴たりとも逃さない。そんな執拗な舌舐めがずっと続く。指と指の間まで丹念に舐め続け、ようやくそれが終わった。
「すごいです」
巳雪さんがつぶやく。
ピンク色の蒸気がわきたっている。
その甘い匂いを嗅いだだけで、私の理性はぐちゃぐちゃに溶けてしまった。あれだけ射精したのに、私の肉棒が盛大に勃起している。
「すごい」
巳雪さんが私の肉棒に気づく。
妖艶に、優しげに、彼女がにっこりと嗤っている。
「きもちよくしますから」
ゆっくりと巳雪さんが近づいてくる。
私にまたがり、その大きなお尻で私の下半身を制圧してしまう。こうなったら物理的にも動けない。私の下半身に馬乗りになった巳雪さんが、憂いを帯びた瞳で問いかけてくる。
「ダメですか?」
「うっ」
「絶対にきもちがいいはずです。必ず満足させてみせます。だから、お願いします」
ゆっくりと彼女の手が私の肉棒を撫で始める。
触れるか触れないかの絶妙なタッチで愛撫し、私の性感を高めていく。私はなすすべもなく、コクンとうなづいてしまった。
「嬉しい」
巳雪さんが笑った。
「絶対に満足させますから」
がしっ。
再び巳雪さんが私の肉棒を握る。
まるで宝物でも扱うように、彼女が私の肉棒を扱い始める。快感が暴力みたいに押し寄せてくる。すぐに限界をむかえて、射精する。それを巳雪さんが食べて、またおねだりが始まるのだ。それが、ずっと、ずっと続いた。
(食べられてる・・・・私は食べられて・・・・)
意識がもうろうとしてくる。
こちらを愛しげに見下ろしてくる巳雪さんの笑顔を見つめながら、私は意識を失った。
●●●
気がつくと、昼間だった。
太陽はすでに天高くのぼっている。時計を見ると既に12時だった。寝過ごしたのだ。そのことが自分自身信じられなかった。
「疲れてたのか」
山のぼりの疲れがたまっていたのだろう。
全身をひどい倦怠感が包んでいる。
2日前から山に入ってひたすらに歩いてきた。これまでの行程が脳裏によぎっていく。昨日は道に迷って廃墟と化した神社で巳雪さんに、
「う」
昨日の夜のことを思い出す。
全裸の巳雪さんの大きな体。
さんざんに搾り取られた記憶。
私の精液をおいしそうに堪能していた妖艶な女性の笑顔。
「夢、だったのか?」
わからない。
夢だとすればとてつもなくリアルな夢だった。私は自分の布団をくまなく確認して、昨日の痕跡が何か残っていないかと探してみたのだが、何もみつからなかった。
「おきるか」
登山中のいつもの日課で独り言を漏らす。
布団を簡単に畳んで部屋の隅に置く。
部屋を出て土間におりると、おばあさんがせっせと釜の準備をしていた。「おはようございます」とあいさつをすると、おばあさんが立ち上がって、
「おはようございます。昨日は休めましたかな?」
「え、ええ。すごくよく眠れました。でも、申し訳ありません。こんな時間まで寝てしまった」
「なんのなんの。気にしないでくだされ」
シワだらけの笑顔に私は救われる思いだった。
「それに、まだ怪我が治っていないご様子。今日もうちに泊まっていってください」
「そ、それはさすがにご迷惑では?」
「なんのなんの。お客人は珍しいですからな。ゆっくりしていけばよろしい」
遠慮があったが、おばあさんのご厚意に甘えることにした。もう正午をまわっていて、これから山の中を歩くのは危険だった。午後の山の天候は荒れることが多いのだ。
「まずは顔を洗ってきなされ。不便で申し訳ないですが、近くに川が流れている。裏庭の先なのですぐに分かるはずです」
私は礼をしてから土間をあとにした。
朝起きた時から続く倦怠感でふらつきながら、案内された川に向かって歩き出した。
*
裏庭に出てみると川に続く道がすぐに見つかった。
鬱蒼としげった森の中を進む。
太陽が隠れて薄暗い空間が続いている。
まるで秘密の場所に通じる小道のようだ。
その道中なぜか甘い匂いがした。その匂いはどんどんと強くなっていく。
川の音が聞こえる。
森がひらけて、沢の流れが視界に飛び込んでくる。
そして、
私はそれを見た。
「う、わ」
川の中で全裸の女性が一人たたずんでいた。
大きな体だった。
明らかに私よりも高い身長。おっぱいが大きく、張りがあり、ピンク色の乳首が周囲の獲物を誘うみたいに鎮座している。お尻も大きくてどっしりしている。足が信じられないくらいに長くて、その太ももはムチムチとして、とても柔らかそうだった。まるで生命力の塊みたいに彼女は見えた。
(す、すごい)
気が動転してしまい、一歩後ろに下がる。
その時、枝を踏んでしまって、バギっと音がした。
「あ」
その音で気づかれる。
川の中の女性が私のほうに振り返り、恥ずかしそうに顔を赤らめた。そのまま彼女は自分の胸と秘所を手で隠そうとしながら、ぺこりと私にむかってお辞儀をした。憂いを帯びた瞳。絶世の美女がそこにはいた。その顔には見覚えがあった。
「み、巳雪さん」
ようやく気づく。
川の中の女性は巳雪さんだった。彼女は手早く体を手ぬぐいで拭くと、さっと上着だけをはおった。そして控えめな笑顔を私に向けてくる。
「おはようございます」
透き通るような声。
私はフラフラしながら彼女に近づき、「お、おはようございます」と狼狽しながら答えて、異変に気付いた。
(な、なんだこの匂い)
甘い芳香。
川に来るまで感じていた甘い匂いは、明らかに巳雪さんの体から発せられていた。彼女に近づけば近づくほど、その匂いは強くなった。嗅ぐごとに体がビクンと震えて快感が走る。食虫植物が発する甘い匂いに誘われた昆虫のように、私は巳雪さんにフラフラと近づいてしまった。
「よく眠れましたか?」
「は、はひ。ええ、はい」
「顔を洗いにこられたんですよね。よかったらこれをお使いください」
にっこりと笑って、さきほど自分の体を拭いた手ぬぐいを手渡してくれた。私はプルプルしながらそれを受け取り、目の前の巳雪さんを見つめるしかなかった。
(ほ、本当に昨日と同じ人なのか?)
そう思わざるを得ないほど巳雪さんは変わっていた。
昨日はカサカサに乾いた肌だった。髪も色素すら失ったみたいにボサボサだった。老婆と見間違うほどに枯れ果てた女性であったはずだ。
それがどうだろう。目の前の巳雪さんは生命力に満ちあふれていた。肌は水滴をはじくほどのみずみずしさを誇っていて、髪も艶のある漆黒の長髪に変わっていた。こうして近くにいるだけで圧倒され、自分という存在が吸収されてしまうような存在感がある。
「あの、大丈夫ですか?」
その言葉でハっとする。
あまりにもじろじろと見つめ過ぎてしまったらしい。憂いを帯びた瞳で心配そうにこちらを見つめてくる巳雪さんの姿が目に飛び込んできて、その美しさに思わず「う」と呻いてしまう。
「昨日の影響がまだ残っていますか?」
「へ?」
「昨日の・・・・・・夜のことです」
その言葉にどくんと心臓が脈打つ。
あれはやはり夢ではなかったのだ。
昨日の夜、私は巳雪さんに搾り取られた。そのことを自覚すると、私の体が歓喜でビクンと震えた。体が喜んでいることが分かる。昨日、あれだけ気持ちよくしてくれた相手を目の前にして、本能が悦んでいるのだ。それがはっきりと自覚できた。
「ごめんなさい。わたし・・・・・・」
目の前の巳雪さんが顔を真っ赤にして、うるうると瞳に涙をため始めた。
「我慢できなくて・・・・・・男の人と会うのが久しぶりだったので・・・・・・本当にごめんなさい」
その宝石みたいな涙が落ちそうになっている。慌てて言った。
「いや、そんな、謝らないでください」
「でも・・・・・・」
「む、むしろ私のほうがお礼を言わないといけないくらいで。巳雪さんみたいなステキな女性に、その、してもらって、すごいラッキーだなっと」
私の言葉を受けて、巳雪さんがじっと私を見つめてきた。
憂いを帯びた瞳が至近距離から迫ってくる。その顔に笑顔がぱああっと咲いた。
「嬉しい」
ゆっくりと。
自然に。
巳雪さんが優しく私の体に身を寄せてすがりついてきた。身長差があるせいで、ちょうど巳雪さんの大きなおっぱいが私の顔面におしつけられる格好になる。甘い匂いで頭がジンと痺れた。
「そんなこと言われたの、初めてです」
「み、巳雪さん」
「わたし、がんばりますから」
彼女が私の耳元に顔を寄せてきた。
そして心を溶かすような妖艶な囁き声で、
「夜、期待していてくださいね」
「あああああッ!」
その言葉だけで体がビクンと跳ねる。
すぐに私から離れた巳雪さんは、控えめないつもの様子に戻っている。それでも彼女の妖艶な声がいつまでも私の耳に残ったままだった。
つづく